スペインの名指導者が中国戦にいくつも苦言。「日本は交代で入れた選手もフィットしていない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JFA

 後半15分をすぎ、得点が必要な中国は3人の交代カードを切り、システムも4バックに変更し、さらに前へ出てきた。ただ、無理攻めで押し込むことで、背後のスペースが空いてしまう。戦術的に、攻守のバランスが取れていなかった。

 これにより日本は絶好のカウンターの機会を得ていた。中国の戦術的欠陥を活用できたはずだ。ところが、何度かゴールに迫るものの、追加点を決めることができない。

 後半は心身の疲労があったのか。前半以上に判断が遅く、悪くもなっている。たとえば、この日の大迫は、目覚ましいシュートを決めた一方、動きが少なすぎた。ヘディングは力がなく、終了間際に遠藤航がカウンターで持ち込んだパスも完全にコントロールミスをしていた。また、ボランチの柴崎岳も、ミドルを狙う工夫は評価に値した。しかし、遠藤との連係はいいとは言えず、プレーメイクのところで存在感を出せていない。

 そこで、交代策の話になるだろう。

 日本は3人の選手を交代させたが、交代で入れた選手もフィットしていない。原口元気は不用意なボールの失い方をしていたし、サイドを活性化できなかった。鎌田大地も、本来の彼のキックやコントロールを見せられず、オマーン戦から体が重いままだ。終盤、久保からのパスを、いつもなら枠内にシュートを打てたはずだ」

 エチャリはあえて厳しい批評を加えつつ、彼らしく建設的な評価も与えた。

「個人的に評価したい選手が2人いる。

 センターバックの冨安健洋は非常に堅牢な印象で、相手の持ち味である空中戦の強さも潰していた。吉田麻也と組んでディフェンス全体が安定していたが、今の日本に欠かせない選手と言えるだろう。

 また、久保は攻撃を牽引していた。機動力に優れ、ピッチのどこにいても技術、スピード、コンビネーションでアドバンテージを取れる。

 あえてもうひとり名前を挙げるなら、GK権田修一か。前半終了間際には少し判断がぐずつく場面があったが、GKにとっては難しい展開の中で、集中してプレーしていた。後半途中、FKから放り込まれたボールをキャッチする対応など、難攻不落の印象を敵に与えたのはすばらしい」

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