スペインの名指導者が中国戦にいくつも苦言。「日本は交代で入れた選手もフィットしていない」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JFA

カタールW杯アジア最終予選特集

「実力的にはだいぶ劣る中国を相手に、日本はジリジリとした戦いを強いられた」

 レアル・ソシエダで20年近く、強化部長や育成部長を歴任したスペイン人指導者ミケル・エチャリは、そう言って、日本が中国を1-0と僅差で下した勝利を振り返っている。

「前半、守りを固めた中国を相手に、日本は攻めあぐねている。後半に入って、中国が前がかりにプレスをかけてくると、ボールを失う回数も増えた。相手が出てきたことで広大なスペースが広がり、カウンターも放てるはずだったが、日本は本来の『(技術+スピード)×コンビネーション』を見せることができていない。1点差の勝利は収めたが......」

 エチャリは温厚で日本への敬意に満ちた指摘が常だが、中国戦に関しては、やや厳しくならざるを得なかった。

中国を攻めあぐねる中、存在感を見せていた久保建英中国を攻めあぐねる中、存在感を見せていた久保建英この記事に関連する写真を見る「日本は使い慣れた4-2-3-1で挑んでいる。ほとんど敵陣でボールを動かし、攻め続けている。5-3-2と全員で守りを固め、カウンター攻撃さえ捨てた中国に迫る図式になった。

 しかし極端に守るだけの相手に対し、日本はなかなか有効な攻撃ができていない。

 序盤は大迫勇也の反転からのシュートなど、局面では個人技で質の高さを見せつけた。久保建英のドリブルも脅威を与えていたし、大迫との連係からポストに当てたシュートなどは際どいものだった。しかし、サイドでの相互理解やボランチ同士の連係など、どこかズレていた。結果、パスが中央に集まりすぎてしまい、人垣に阻まれて崩しきれなかった。

 前半40分、伊東純也がスプリント力で相手を振りきって、大迫がいいタイミングで走り出し、ディフェンスの前を取り、クロスに合わせたゴールは見事だった。大事な1点と言えるだろう。しかし攻撃全体では、パスがパスのためのものになってしまい、スピードが上がらなかった」

 エチャリは、プレーテンポの悪さを指摘している。人海戦術に頼って、スライドもろくにできない中国を攻めきれなかった。

「後半に入って、中国がやや前に出てくるようになった。これで彼らがボールを持つ時間が増えたが、技術が低く、すぐに失ってしまう。クオリティの低さを改めて露呈した。しかし、日本も攻めきれず、試合はぶつ切りのようになった。

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