日本代表は何度同じことを繰り返すつもりなのか。腑に落ちない最終予選の初勝利 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 久保もまた、狭い局面でのボールコントロールの技術が高い日本選手のなかでも際立っていた。巧みなコンビネーションには必ず久保が絡んでいたと言ってもいいほどで、彼がいなければ、人海戦術でゴール前を埋める中国に対し、これほどの決定機は作れなかったのではないだろうか。

 世界的に見れば、劣ると言われる日本選手の個人能力も、アジアのなかでは抜けている。日本は中国に対し、組織力ではカバーし切れない違いを見せつけたと言える。

 キャプテンのDF吉田麻也が、安堵の表情で語る。

「手放しには喜べないが、これが最終予選。兎にも角にも勝ち点3をとれたのが大きい」

 初戦の敗戦から心身ともにリカバリーし、しっかりと勝利を手にした試合ということになるのだろう。「反発力を持って、いいエネルギーを作り出してくれた」とは森保一監督の弁だ。

 しかしながら、そこで少々引っかかるのは、日本代表は何度同じことを繰り返すのだろうか、ということだ。

 敗戦のショックを引きずることなく、気持ちを切り替えて勝利をつかむ――。ワールドカップへの険しい道のりを語るにはもってこいの、美しい話ではある。選手だけでミーティングを開き、チームがひとつにまとまるのも、もはや15年以上続く定番ネタだ。

 裏を返せば、日本代表はそのつど気持ちが緩んだ試合をしたり、力の劣る相手に足をすくわれたりしてきたわけだが、それにもかかわらず、何度も同じことが繰り返されているのである。吉田が語る。

「精神的な準備が足りていなかった。そこが反省材料であったことは間違いない。1試合目(オマーン戦)が終わったあとに、(精神的な準備が)誰もが不十分だったと認識していたと思う。なぜ最終予選が大切なのか、もう一度再確認しなければいけなかった。僕自身(経験のあるキャプテンとして)ミスがあったと認めざるを得ない」

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