日本代表が中国戦に勝利も着手すべき問題。苦戦を続ける理由ははっきりしている (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JFA

 そうした中で殊勲だったのが伊東純也だ。前半40分、右ウイングの位置でボールを受けると、持ち前のスピードを活かして、単独で強引にもサイドをドリブルで縦に切り裂き、マイナスのセンタリングを中央に送り込んだ。ゴール前に詰めていたのは大迫勇也。これを中国ゴール左隅に鮮やかに流し込み、先制点をもぎ取った。

 伊東の縦突破は、久保建英や堂安律にはない魅力だ。左ウイングで先発した古橋亨梧にも備わっていそうな魅力だが、前戦に続き、この日も古橋が左サイドで活躍することはなかった。左SB長友佑都と良好なコンビネーションプレーを発揮することもなかった。身体は元気そうだったが、チームにフィットしている感じはない。

 左サイドの話を続ければ、後半5分、膝を痛めた古橋に代わって投入された原口元気も同様に、見せ場なく終わった。左SBには後半43分、長友に代わり佐々木翔が投入された。ロスタイムを加えた数分間、原口と2人で縦の関係を築いたが、これも次に繋がる交代とは言えなかった。

 右と左。どちらが機能していないかといえば左サイドだ。右が特にいいというのではなく、左が悪すぎる印象だ。左ウイングと左SB。森保監督が着手すべきはこの関係を円滑にすることだろう。

 試合展開に変化が生まれたのは後半18分以降。中国は5バックからオーソドックスな4バックに布陣を変更した。「攻める日本。守る中国」の構図はこれを機に一変した。印象としては70対30だった関係は、55対45くらいにまで接近した。

最初から、中国にこのスタイルで向かってこられたら結果はどうなっていただろうか。噛み合いのいい面白い試合になっていたことは間違いない。中国の監督が、日本を過大評価し、必要以上に警戒してくれたことが日本にとっては幸いした。

 後半は0-0だった。大迫のゴールが決まった直後のハーフタイムに味わう気分と、試合後に味わう気分とには大きな落差があったはずだ。安堵感に包まれることになったハーフタイムに対し、試合後は、課題が山積していることを痛感することになった。終わり方は決してよくなかった。

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