オマーン戦どころじゃない。W杯予選で忘れられない日本代表の試合「ワースト3」 (3ページ目)

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 サッカー協会は、前戦のカザフスタン戦に引き分けると、窮余の一策として加茂周監督を更迭。コーチの岡田武史を監督に抜擢した。ウズベキスタン戦は岡田氏の監督デビュー戦であり、勝たなければ、W杯本大会出場の可能性が著しく低下する、絶対に負けられない一戦となった。岡田監督は後半、呂比須、三浦、城彰二、それにCBの秋田豊の4人をトップに据え、パワープレーに出た。ところが、4人とも真ん中に固まって構えたため、呆れたことに肝心のサイドからボールを上げるキッカーがいなかった。結果、後方からボールを蹴り上げる野蛮な縦蹴りに陥った。

 結果的には、この超低レベルな策が日本に同点ゴールをもたらしたわけだが、スタンドを満員に埋めたウズベキスタンの観衆はこの結末に沈黙。筆者もここは喜ぶべきではないと、あえて押し黙った記憶がある。
 
3位=日本0-0シンガポール
2018年ロシアW杯2次予選(2015年6月16日/日本)

 ロシアW杯2次予選初戦。ハリルホジッチを監督に迎えた日本はシンガポールと対戦した。日本は4-0、5-0が妥当とおぼしき力を持ちながら、0-0で引き分けた。目に余るのはサッカーの質の悪さだった。

 4-2-3-1の前の4人が中央に乱立。攻撃に幅を出そうとせず、本田圭佑、香川真司、宇佐美貴史らが正面から、「俺が、俺が」と強引な攻めをくり返した。高慢でありながら非頭脳的サッカーだった。

 だが試合後、目立ったのは、ゴールが決まらない原因を、決定力不足に求めようとする声だ。試合後の会見では、ハリルホジッチも「その通り」と相槌を打った。サッカーの構造的な問題を決定力不足で片づければ、議論はそこで行き止まりになる。サッカーの中身について発展していかない。苦戦するたびに決定力不足のせいにして、その場をやり過ごそうとする日本の悪いクセが凝縮された一戦だった。

浅田真樹氏(スポーツライター)

1位=日本2-2イラク
1994年アメリカ杯最終予選(1993年10月28日/カタール)

 せっかく2?1とリードしていたにもかかわらず、試合終了まで数十妙というタイミングで同点に追いつかれる悲劇的な結末。ドーハの悲劇として知られ、日本サッカー史に残る"歴史的事件"は、最も印象に残る試合のひとつであると同時に、ほぼ手中にしていたワールドカップ初出場を逃したという結果において、史上最悪の試合でもあるだろう。

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