森保ジャパン、チーム戦術の崩壊。攻守に乱れたデータがはっきりと出た (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 おそらくそれが、4-3-1-2の相手に対して日本のサイド攻撃が機能しなかった理由であり、クロス本数を増やせなかった最大の要因だ。

 結果的に、この試合で日本が作った決定機はわずかに2度。吉田麻也のロングフィードを斜めに走ってDFの背後をとった伊東純也が放った前半28分のシュートシーンと、酒井宏樹のクロスに逆サイドから飛び込んだ長友佑都がヘッドで合わせた後半55分のシュートシーンのみ。シュート数も9本対12本でオマーンに上回られるなど、今年の6試合(U-24日本代表戦を除く)で積み重ねてきた攻撃のかたちは、オマーンには通用しなかった。

 守備に至っては、さらに問題は深刻だ。とりわけ日本がリスクを冒して前掛かりになった後半は、1失点で終わったのが奇跡的と言えるほどの破たんぶりだった。

 4-2-3-1を採用する森保ジャパンでは、相手ボール時には4-4-2の陣形で守備をするのが基本のかたちだ。そのうえで、前線からプレスをかけて、サイドに追い込んだところで囲い込み、できるだけ高い位置でボールを奪って速攻につなげたいというのが、大枠の守備コンセプトだったはず。

 ところがこの試合では、4-4-2で前からはめにいくこともなければ、相手に攻めるスペースを与えないようにブロックを作って構えるシーンもほとんどなかった。とくにリスクをかけて攻めた後半は、ボールを奪われたあとの意識が希薄になり、各選手の立ち位置がバラバラ。本来ゾーンで守るべきエリアでもマンマークで対応するなど、ボールに食いついては剥がされ、相手に前進するスペースを断続的に与える混乱状態に陥った。

 そうなった要因のひとつは、攻撃の問題と密接に関係する。その典型が後半60分。日本がゴールを奪うべくフィールド10人全員が敵陣に入って右サイド攻撃をしかけた直後、伊東が出した遠藤へのパスが23番にインターセプトされ、逆襲を食らったシーンだ。

 この時のオマーンのカウンターは決して速攻ではなかった。しかし、攻撃のための立ち位置をとっていた各選手が次々とボールに食いついては剥がされたため、オマーンがドリブルとパスをつなぎながら前進し、最後は左サイド(日本の右サイド)に攻め上がった17番がフィニッシュ。

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