歴代日本人左サイドバックトップ10を都並敏史がガチ選定。長友佑都を超える選手はいるか (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Fujita Masato

1位 長友佑都(無所属/※2021年9月5日現在)

 相馬と同じようにSBとしてのバランスが完璧。ただ、積んでいるエンジンが相馬の3200ccに対して、長友は5000cc! ちょっと規格外ですよ。

 長友が21歳の時、五輪代表チームでデビューした試合をよく覚えています。僕はテレビの解説者として現場にいました。それで途中から出てきて、ワンプレー見た瞬間に「絶対に日本代表になる」とその場で断言しました。

 なにがすごいかって、もうトルクなんですよ。それとスタミナが異常。上から下までズンズンと走り回ってから次の寄せとか、ドリブルとかがまったくブレない。自分の経験からはあり得ないことでした。

 自分なら連続で3回しかできないことを、長友は10回連続でやってしまう。上がっていってクロスをあげて、帰ってきてボールを奪って、そのまま上がっていく。こんなことあり得ない。これができるのがまず最高の能力ですよね。

 ケタ違いのスタミナがあるので、相手の近くまで寄せられる。さらにスピードがあるから反転して戻れる。彼はそういうプレーで相手を困らせることができる。相手が疲れてくるなかで、ずっと駆け引きができるわけです。

 長友と1対1をした相手は、1回の勝負だけではなくて、45分とか90分やり続けてこられるので「なんじゃこいつ!」と思っているはずですよ。

 攻撃面では、以前は一本調子でした。左SBは中央からボールをもらう時に左足で止めて、横、前、斜めにパスコースを3つ作るのが大事なんですが、長友は最初右足で止めていました。

 でも彼は努力家なので、そこからどんどんうまくなって今では左足も蹴れる、中へも行ける、パスコースは4つも5つも作れる。経験を糧にどんどん成長していきましたね。

 日本代表は長友のポジションを脅かす選手がずっと出てきていませんが、まだ当分出てこないでしょう。もちろん、長友が衰えてフィジカル面が落ちてしまうとSBのプレーは難しくなります。

 今でもモチベーションも意識も高くて、今回のランキングで吉田や中山、佐々木と名前を挙げましたが、正直まだまだ足元にも及ばない。もし長友が外れる可能性があるとしたら、監督が変わって戦術的にマッチしなくなった場合しか考えられないですね。文句なしの1位です。

都並敏史
つなみ・さとし/1961年8月14日生まれ。東京都出身。1980年代から90年代に活躍した日本の左サイドバックの第一人者。読売クラブ、ヴェルディ川崎、アビスパ福岡、ベルマーレ平塚でプレー。日本代表国際Aマッチ78試合出場2得点。1998年の現役引退後は、東京ヴェルディのユース監督やトップチームコーチ、ベガルタ仙台、セレッソ大阪、横浜FCの監督を歴任。現在はブリオベッカ浦安の監督を務めている。

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