歴代日本人左サイドバックトップ10を都並敏史がガチ選定。長友佑都を超える選手はいるか

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Fujita Masato

8位 中山雄太(ズヴォレ)

 中山は東京五輪でかなり評価を上げた選手です。長友佑都の後継者の一番乗りになるべき選手だと思います。

 ただ、本人が「ボランチをやりたい」というSBへの迷いがあるとなかなか成長につながらないと思うので、今回のこの記事で「SBとして生きていけ!」と言いたいですね(笑)。

 五輪では、メキシコのディエゴ・ライネスなど、面倒な相手に対しても相馬勇紀(名古屋)とふたりで非常にうまく守っていました。森保一監督の指示があったと思いますが、それを理解してピッチのなかに落とし込むのは結構難しい作業です。それを及第点以上でこなし、非常に賢い選手で、これからもっと成長するだろうなと感じました。

 代表ではいろいろな選手が左SBで起用されてきましたが、ディフェンスがうまくいかないケースが多いんですね。もちろん相手ボールは取りたいし、マークも大事。でもCBとの距離を空けるとそこを狙われます。

 相手に行くのを我慢してサイドハーフを呼んで助けてもらうとか、総合的なバランスを見ながら自分の背中(裏)をやられない感覚が重要です。そのうえで、ボールを奪いに行く。中山はボランチをやっていたことで、そこのバランス感覚が優れているのかもしれないですね。

7位 佐々木翔(サンフレッチェ広島)

 佐々木は3バックの左CBが最も適正のある選手だと思いますが、4バックの時の守備の堅さが優れている点です。

 4バックになると自分の前の選手が潰す相手になりますけど、一番危ないのはCBがマークしている相手への意識。これがないとCBを相手と1対1にさせてしまうわけです。CBがマークする相手に対してガツっと行くためにはSBのカバーが重要で、佐々木はCBをやっているだけあってそこは間違えない。

 現代表では長友佑都のバックアッパーの立ち位置になりますが、守備の安定の部分で森保監督からの信頼は厚い選手で、3バックのオプションという意味でも大事な戦力でしょう。

 また、セットプレーの強さはチームが勝つために欠かせないもので、佐々木がセットプレーで点がとれるのは、ここまで挙げたものとは別の評価軸で大きく評価できる能力だと思います。

6位 酒井高徳(ヴィッセル神戸)

 酒井はインターセプトなど、前への強さがありながら裏をとられない。とられないというより、反転能力の強さでカバーができる。その相手に体を当てながらゴリゴリっとボールを奪える強さは、ドイツでさらに磨きがかかっていて、神戸に加入してから今は右サイドをやっていますけど、そこは際立っています。

 SBとしてはクロスやフィニッシュで終えるところと、周りを使うところの判断が非常に長けている。神戸はポゼッションの色合いが強いなかで、流れを邪魔せずにうまく入って行けて、それを左右関係なくこなせるのは賢いなと思います。

 ただ、今の神戸には酒井のポジションを脅かす選手がいません。それで本人もたまに抜けたような変なミスをするので、早くチーム内に競争相手が生まれるといいですね。

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