中澤佑二が語る日本代表。「フロンターレとマリノスの中からもっと選ばれてもいい」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by ロイター/アフロ

「基本的に戦い方を変えない。2次予選の8戦全勝は、相手に合わせるというよりも自分たちのいい守備からいい攻撃という戦いを貫いた。それに選手たちが従って出した結果です。ひとりでも『えっ』という選手がいたらこういう結果にはならないでしょうし、森保監督はそういう選手を呼んでいないでしょう」

 中澤さんが、ポイントとして見ていたのがコミュニケーションだ。

「森保監督は、選手に対して気遣いができるので、それを選手も感じとっている。だから、素直にいろんな話をすることができていると思うんです。それはポリシーを浸透させ、チームを作るうえで非常に大事なことですね」

 森保監督のチームで象徴的なのが海外組の選手の多さだ。今回、カタールW杯最終予選の初戦のオマーン戦、続く中国戦の代表メンバーにかぎっていえば、24名中6名しか国内組はいない。フィールドプレイヤーでは21名中4名のみだ。その中には酒井宏樹(※9月2日にオーバーワークを考慮し、離脱)、大迫勇也もおり、彼らはちょっと前まで海外でプレーしていた選手なので、実質的には山根視来(川崎)と佐々木翔(広島)だけになる。

「海外組、すごいですよね。ひと昔前なら考えられない状況です。でも、所属クラブとかを見ると、全員がトップリーグで、トップクラブでプレーしているわけではない。ただ、海外でプレーしていることで日常的に海外の選手と戦えているので、いざ世界と戦ってもギャップは感じなくなってきているかなと思います。やっぱり国内でプレーしていて、国際試合に出ると相手のテクニック、スピード、フィジカルに違いを感じるんですけど、海外組の選手は、それらが日常なので、想定内で戦える。それはすごく大きいと思いますね」

 今後も海外を目指す選手が当然出てくるだろうし、実際に田中碧と三笘薫は、東京五輪が終わったあと、海外に飛び出して行った。そうして個々のレベルが上がり、選手層が厚くなるのは森保監督にとってはもちろん、日本サッカー界にとっても大きい。だが、海外組ばかりが代表に入るとJリーグにとって望ましい事態ではないと中澤さんは語る。

「今、Jリーグで首位を争っている(川崎)フロンターレと(横浜F・)マリノスの中からもっと代表に選ばれてもいいかなって思いますね。首位争いをしてチームで活躍しているのに代表に入れないのであれば、じゃあどうやったら代表に入れるのかってなるじゃないですか。海外に行ったら代表に入れるということになれば、そういう方向に選手の目が行きます。Jリーグから代表は選ばれない。海外に行かないと代表で活躍できない。そうなると、やっぱり海外組すごいよねってなるだろうし、Jリーグを見なくなってしまう可能性もある。Jリーグの選手にもっと頑張ってほしいなって思いますね」

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