憲剛さん寿人さん、W杯予選突破は当たり前? 答えは「簡単に言うなよ(笑)」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

---- そういった風潮は、やはりプレッシャーになりますか?

中村 なると思いますよ。しかも、今回は最終予選を経験している選手が意外と少ないんじゃないですかね(※メンバー発表前の8月23日に対談)。コロナ禍でお客さんが入らないと思いますけど、やっぱり最終予選は独特な空気感がありますから。

---- 最終予選は、やはり特別だと?

中村 相手の覚悟が違うんですよ。本当にまず全力で守備から入ってきますから。前回も初戦でUAEに負けてますしね。相手は日本を最大限、リスペクトしてくる。本気で大人が11人で守ったら、やっぱり簡単ではないですよ。

 極論すれば、向こうは勝ち点1以上でいいわけなんです。とくに日本のホームでは、そこまで割り切っている。さすがにJリーグではそういう相手はいないですし、海外組にしても、そこまであからさまな相手は経験がないはず。

 そういった相手の守備網を、いかに潜り抜けていくか。難しい試合になることは間違いないでしょう。当たり前のように勝ってほしいと思いつつも、経験した身からすると、何が起きるかわからないのが最終予選なんです。

佐藤 一体感を持ってやってほしいですよね。スタートから出る選手が中心となりますけど、招集されても出られない選手もいる。当然、代表に選ばれる選手はそれぞれのクラブで中心となってやっていているわけですけど、試合に出られなければ、葛藤を抱える選手もいるはずです。

 それでも、これまでの最終予選を振り返ると、いろんなシーンで思い浮かぶのは、ひとつのゴールや勝利で、チーム全員が心の底から喜んでいるところ。そうやって一体感を持って戦うことが、勝ち抜くためには必要なことだと思います。

 あとはやはり、オリンピックで悔しい想いをした選手たちに、ひとりでも多く最終予選で戦う姿を見せてほしいですね。

中村 そうね。やっぱり、五輪によってサッカーの熱がまた盛り上がってきてると思うので、この熱を冷ましてはいけないと思うんですよ。選手たちはそこまで深く考えなくていいけど、代表が結果を残すと、わかりやすくサッカー熱は高まるというのは、昔から感じるところ。代表が結果を出せば、当然、Jリーグの盛り上がりにもつながる。海外組が増えたとはいえ、そこは切っても切り離せないものですから。

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