日本代表は常にベストメンバー招集が良いのか。新戦力や国内組が少ないことの問題点 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 久保に関して言えば、FC東京からレアル・マドリードを経てマジョルカ入りした2年前を想起する。新天地でスタメンを飾れるかどうか微妙な立場にいた当時18歳の久保を、森保監督はたて続けに招集。長期拘束した。

 W杯2次予選のモンゴル、タジキスタンという相手に、例によってベストメンバーを送り込んだわけだが、久保を使ったのは、タジキスタン戦の3分のみ。そうこうしている間に、マジョルカ内における久保のポジションは急降下。出場時間は激減した。チームは降格したことで、久保は移籍を余儀なくされた。

 久保のここ1、2年の停滞と、あの時の代表招集は密接な関係にあると思う。森保監督が久保を大事に育てたかと言えば、ノーと言わざるを得ない。欧州でシーズン初めにあたるいま現在、不安定な立場にいる選手の扱いは慎重にすべきなのだ。2022年ベスト8入りを目標とするならば。

 一方、Jリーグでいま、圧倒的にいいサッカーを展開し、快進撃を続ける横浜F・マリノスからも、誰ひとり選ばれていない。この点も問題ありだと言いたくなる。国内リーグと代表チームに、多少なりとも関係性を持たせないと、国内リーグの存在意義は薄れる。1人でも2人でもいい。無理してでも加えるべきなのだ。Jリーグでの勢いを代表チームに取り入れようとする姿勢は、代表監督に課せられた使命と言ってもいい。

 具体的に選手の名を挙げるならば前田大然だ。Jリーグでいま最も好調な選手。横浜FMを象徴する旬なアタッカーには、なにより勢いが期待できる。森保監督は、この好調な前田を、東京五輪でわずか65分しか使わなかった。攻撃陣の中では最も少ない出場時間だった。全6戦ですべて先発を飾った久保(出場時間=525分)、堂安(521分)と比較すれば、その差は一目瞭然となる。

 なぜここまで森保監督は、起用法に格差をつけてしまったのか。久保、堂安は確かに好選手だが、現在は、招集しないほうが得策と言っていい時期にあたる。

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