日本代表は常にベストメンバー招集が良いのか。新戦力や国内組が少ないことの問題点

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 だが、日本の目標はさらにその先にある。W杯ベスト8。目の前の相手と、ベスト8を争う相手の姿を同時に見据え、つまり目標達成の可能性を常に探りながら、試合をこなしていく必要がある。のっけからベストメンバーを編成すればいいという問題ではないのだ。

 森保采配の成果は、負ければその瞬間、お終いとなる、甲子園の高校野球と同種の匂いがする。本当にW杯ベスト8を目標に据えているのか。循環することが宿命づけられている代表チームにとっての「ベスト」の定義とは何なのか。この基本線を忘れているような気がしてならない。

 初戦の相手はオマーン、次戦の相手は中国だ。相手を舐めるわけではないが、オーストラリア、サウジアラビアに比べると、力は1枚劣る。この相手に何割の力で勝つことができるか。現状の100%の力で勝っても、喜ぶことはできない。目標から逆算すると、それでは可能性が減退したことになる。

 いかに新しい血を加えながら勝ち抜いていくか。森保監督は、東京五輪後、日本にはまだそうした戦いができる力がないという旨のコメントをしているが、それこそが、代表監督の腕の見せどころだろう。森保監督はそこでギブアップした。そのことは今回のメンバー選考にもしっかり見て取ることができる。

 五輪の直後の代表戦であるにもかかわらず、新鮮な血を入れ込めなかった。旧来の考えに基づくベストメンバーを選出してしまった。

 初戦のオマーン戦はホーム戦だ。ところがフィールドプレーヤー20人の中に、国内組は4人(佐々木、酒井、山根、大迫)しか選出されていない。もう少し加えるべきだったと言いたくなる。

 国内組と欧州組。所属クラブでスタメンを確保するのに、四苦八苦しているのは欧州組だ。そのうえ現在はシーズン初めだ。今季、新たなチームに加わった選手にとって、いまは離れたくない時期にある。

 マジョルカに移籍した久保。シャルケに移籍した板倉、PSVから所属先が変わる可能性がある堂安などがそれに該当する。東京五輪で6戦すべてにスタメン出場した吉田、遠藤も休ませるべきではないだろうか。

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