「本気の世界とは圧倒的な差がある」U-24日本代表がまたも思い知らされた壁 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 結局、試合は延長戦を含めた120分間スコアレスのまま終了。PK戦決着へと持ち込まれた。

「もう(交代して)出ていなかったんで、『何とかしてくれ』と思っていただけ。祈りながら見ていた」(旗手怜央)

 緊張のPK戦。しかし、日本の選手たちは意外なほど落ち着いていた。

「自信があるヤツが手を上げていった。僕もたぶん公式戦では初めて蹴ったので、ある意味、外したことはなかった(苦笑)」(吉田)

 挙手制で決まったキッカーは、1人目から順に上田綺世、板倉滉、中山雄太、吉田麻也、遠藤航。結果的に、遠藤まで出番が回ってくることはなかった。

 チームを救ったのは、GK谷晃生である。

 まずは、ニュージーランド2人目のキッカーを鮮やかにセーブ。これでプレッシャーがかかったのか、ニュージーランドは続く3人目が枠を外してしまう。対照的に4人全員が落ち着いて決めた日本は、辛くもベスト4へ進出した。

「自信がある人がどんどん蹴って、それが結果につながった。何より晃生が2本防ぐのは本当にすばらしいこと」(中山雄太)

「信頼できるディフェンス陣がいるなかで、120分間ゼロ(無失点)で抑えることができたので、最後は自分が止めて、何とか次につなげようと思った」(谷)

 最後はPK戦による薄氷の勝ち上がり。しかし、だからこそ、勢いをもたらす勝利にもなった。

「点をとられる気はしなかったし、あと5分あれば1点とれたと思うし、PKでも負ける気はしなかった。それは、どこが相手だろうと変わらない」(久保建英)

 次は、勝てばメダル獲得が決まる準決勝。相手は、大会直前の親善試合でも対戦した、優勝候補のスペインだ。

「どう倒すかはどうでもいい。どんな戦い方になるかわからないけど、勝つ」(久保)

「もう一個勝ってメダルを確定させるのは、OA(オーバーエイジ)の3人に課せられている使命だと思っている」(吉田)

 準決勝は、冨安が累積警告で出場停止。だが、今のチームに不安は微塵もない。

「僕は決勝に向けて準備するだけ」(冨安)

「金メダルしか頭にない。勝って決勝に進みたい」(堂安)

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