久保建英、三笘薫......東京五輪は通過点。だがどう戦ったかはその後に影響する (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 しかし、準々決勝以降、2人はゴールを決めることができていない。チームとしても3試合を戦い(2試合は120分間)、わずか1得点で、これは敗因のひとつと言わざるを得ない。攻撃が不安定になったのは、守備全体に歪みが出た(遠藤の消耗が目立った)ことも大きく関係している。

 主力と控えの差は明白で、中二日で猛暑のなか、戦うだけの選手層はなかった。

 三笘薫は3位決定戦でスーパーゴールを決めたが、ケガで開幕を迎えたのはあるにせよ、グループリーグのメキシコ戦で交代出場したものの、フィットできていなかった。修羅場を越えてきた選手と比較すると、戦術的判断や守備の強度で物足りなさを感じさせた。3位決定戦での起用は博打だった。

 森保一監督もそこは誤算だったかもしれない。結局、ターンオーバーで選手を休ませる起用ができなかった。その点については指揮官への批判もある。

 ただし、そもそも五輪サッカーに「世界の名将」などいない。日本を下したスペインのルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、1部リーグのクラブを指揮したことはない。アスレティック・ビルバオのセカンドチームでの実績はあるが、3部のアラベスを率いて途中解任され、協会の育成年代指導に当たることになった。メキシコのハイメ・ロサーノ監督は指導者経験が浅く、1部クラブで指揮したデビューシーズンに成績不振で解任されて協会入りした。優勝したブラジルのアンドレ・ジャルディン監督も、クラブのユース年代指導が大半だ。

 やはり敗因は、実力、総合力にある。反省点や「たら・れば」はいくつもあるだろう。しかし大事なのは、東京五輪世代がこの大会を糧に成長できるかどうか。メダルに届かなかった4位という事実をどう受け止め、所属クラブで捲土重来を期すか、にある。

 東京五輪世代、という括りでいえば、舞台に立てなかった選手たちにも当てはまる。

 バルサBの安部裕葵は、きっかけさえつかめたら勇躍できるはずだ。バルサの登竜門で過ごした経験は伊達ではない。プレシーズンながらトップデビューを飾り、顔つきからして違い、プレーにすごみが出てきた。最近、バルサBの試合でまたもケガをしたようで、コンディションは心配だが。

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