スペインの名指導者の危惧が的中。U-24日本代表の敗因は「集中力の欠如」と「ファウルの差」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 もっとも、遠藤はプレーに波が出ただけで、最悪だったわけでもない。その後、コンビネーションからゴール前に入ったシーンは、能力の高さを示していた。GKギジェルモ・オチョアとの接触でカードを受けたが、遠藤のほうがわずかに速く間合いに入っており、気の毒な判定だった。

 しかし22分、日本はややイージーに相手FWを倒し、またも自陣でFKを与えてしまう。左足のインスイングで入ってきたボールに対し、相手のマーカーの遠藤は前に入られていた。ヘディングで合わせられ、2失点目となった」

 エチャリは言う。0-2とリードされ、日本は攻めるしかなくなった。

「日本は反発するように攻めに出た。久保建英、相馬勇紀が可能性を感じさせるコンビネーションを見せた。あるいは酒井宏樹がパスから抜け出し、イエローを誘発した。

 率直に言って、両者の差はほとんどなかった。ただ、メキシコがファウルを敵陣内でしているのに対し、日本は自陣内でしていた。この駆け引きが、スコアになって表れてしまった。

 メキシコがやや優位だったのは、先制点を取れたことが大きい。落ち着いて帰陣し、守りの形を整えられた。精神的にも優位だった。得点を狙う日本が攻撃を優先したのか、これまでアンカーの選手を久保が封じることで戦術的に機能させていたのだが、この日は7番のMFルイス・ロモをほぼ自由にしていた。ロモは好きなようにゲームを作っている。

 そして後半13分、押し込まれた展開で与えたCKだった。日本は外から入ってきた選手をつかみきれていない。一番近くにいたのはまたも遠藤で、フリーでヘディングを叩き込まれた。メキシコの選手の負傷交代もあって時間が空いて、集中力を欠いていたのか」

 エチャリは事実を端的に指摘したが、それは修正点そのものだろう。

「後半15分過ぎ、三笘薫、上田綺世を投入し、日本のプレーはやや改善した。久保、堂安律が息を吹き返したようなプレーを見せ、得意のコンビネーションでゴールに迫った。三笘から上田へのスルーパスでシュートなど、日本の攻撃のリズムは上がっている。そして後半33分、久保のパスを受けた三笘は縦に切り込み、ドリブルからシュートでGKのニア上を抜いた。

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