U-24日本代表、準決勝での問題点。スペインとの差には縮められるところがある

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 日本は何分かに1度、反撃した。スペインゴールに迫ることができた。しかし、ボールを奪われて即、奪取することはできなかった。日本は高い位置からよくプレスをかけていた。ひとりひとりが高い技術を持つスペインは、それをかいくぐるようにパスを繋ぎながら日本陣内に攻め返すのだが、日本のオールコートプレスに、多少なりとも手を焼いていたことは事実だった。日本が善戦した一番の理由はここになる。こうした真面目さ、勤勉さを、長い時間発揮できる国は世界にそう多くない。

 それによって、スペインの攻撃を遅らすことはできた。しかし、高い位置で奪うには至らなかった。よって連続攻撃ができなかった。対するスペインは、日本からボールを奪うことがうまかった。とかくその洗練されたパスワークに目を奪われるが、奪取するうまさは、もっと語られるべき点になる。

 とはいっても日本は、何回かに1度、そのプレッシャーをかいくぐり、スペイン陣内に進出した。問題はその時の日本の攻撃だった。

 久保建英、堂安律が中心となり、攻め立てたが、ほぼ速攻のみ。プレーにかかわるのは、前線の4人、4-2-3-1の「3-1」がせいぜいだった。守備的MFの2人(田中碧、遠藤航)が、そこに加わる機会は少なかった。遅攻が効かなかった最大の原因であり、その瞬間、前と後ろが開き、真ん中が空くサッカーに陥ったので、それが奪われたボールを奪い返すに至らない原因にもなっていた。

 チームの構造上、田中と遠藤には、半端ではない負担がのしかかっていた。ニュージーランド戦でも、その直後に書いた原稿で述べているが、今回も同じ状態になっていた。ニュージーランドという格下に対して日本は、ボール支配率53%対47%という関係に終わったことが、相手に善戦を許し、延長、PK戦までもち込まれた一番の理由だ。

 遠藤は、スペイン戦を含めると、5試合連続で出ずっぱりだった。田中も5戦連続スタメンを張っていた。負担過多になりがちな2人を、不動のスタメンにしていたことに、日本の一番の問題があった。

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