U-24日本代表、スペイン戦のキーマン。史上初の決勝進出へカギを握る選手は? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 とりわけ、うまく選手の併用が行なわれているのは、1トップである。

 当初、このポジションの軸になると目されていたのは、FW上田綺世だ。しかし、上田はJ1の試合で肉離れを負い、東京五輪直前キャンプに合流した直後は別メニュー調整が続いていた。

 上田本人は「自分(のケガの状態)がどれくらいとか、細かく話すつもりはない」と言い、「ケガをしている状態で選んでもらって、リハビリの別メニューでやらせてもらって感謝している。1戦目からいいパフォーマンスができる準備をするのが大事」と、多くを語ることはなかったが、エースストライカー候補の出遅れは大きな痛手だったはずだ。

 この危機にチームを救ったのが、FW林大地である。

 最初に登録メンバー18人が発表された時点では、林はバックアップメンバー4人のうちのひとりという立場だった。

 ところが、「短期間で競争力を上げるように(チーム内での)立ち位置をグッと上げないといけないと思っていた。やるしかなかった」と林。

 ルール変更によって22人の登録メンバーに加えられると、グループリーグ初戦から2試合連続で先発出場。第3戦のフランス戦は上田に先発を譲ったが、準々決勝ニュージーランド戦では再び先発に戻った。

 林は3試合出場、うち3試合先発。上田は4試合出場、うち1試合先発。もはや背番号19の働きは、単なる代役どころか、二本柱と呼ぶにふさわしい。もしもルール変更がなく、登録メンバー18人で戦わなければいけなかったことを想像すると、ゾッとする。

 ふたりのFWはそれぞれタイプが異なることも、チームとしての戦い方の幅を広げている。

 裏への抜け出しやシュート技術に長けた上田に対し、技術では劣るものの、前線でボールを収め、踏ん張りが利くのが林の特徴。林は先発した3試合ですべて上田と途中交代しており、現状では、林→上田の"継投策"が勝利の方程式となりつつある。

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