スペイン戦に同国の指導者がアドバイス。「試合マネジメントを間違えるな」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 日本は中盤で思うような球回しができていない。遠藤、田中を封じられてしまい、押し込めなかった。ボールを回し、外からは攻めたが、実は決定機は少なかったのだ」

 エチャリは両者の攻防を独自の視点で説明しつつ、そのディテールに迫っている。

「後半6分は、ひとつのターニングポイントだろう。

 ニュージーランドはオーバーエイジのディフェンダーをケガで失い、交代を余儀なくされた。そこで4-4-2の中盤ダイヤモンド型に変更する。怪我の功名だったか、これで中盤での数的有利を得ると、前からのプレッシングも盛んになり、一気にペースを握った。

 そこで際だったパフォーマンスを見せたのが、GK谷晃生だ。

 危険なハイボールが多くなってきたが、谷は的確に処理。試合を通じてパンチング、キャッチングの判断もすばらしかった。守備範囲も広く、高さにやや難があるディフェンス陣において、大きな貢献を見せていた。シュートに対する速い反応や位置取りもほぼ完璧。チームのファウルが時間を追うごとに増える中で、難しい状況に対応していた。

 一方、日本は後半途中からは挽回する。堂安が右サイドを突破し、交代出場のFW上田綺世に合わせたシーンは決定機だったが、相手GKの好守に防がれている。連戦の疲労もあったのか、チーム全体の技術精度は落ちていった。

 延長に入っても、日本は優位だが得点を奪えず、流れは変わらない。板倉滉を投入したことによって、守備面は息を吹き返したように安定した。これで攻撃もやや勢いを取り戻したが、久保と堂安は独力で試合を決めようとする振る舞いが目立ち、強引にシュートに持ち込むシーンがしばしば見られた。

 延長後半も日本は押し込んだが、やはりゴールを割ることはできていない。

 ルーレットのようなPK戦について、私が書く必要はないだろう。日本は途中出場、守備的な選手が多く蹴ったのが印象的だった。そして120分を通じて好プレーを続けた谷は、よくストップしたと言えるだろう」

 エチャリはそう言って、試合を総括した。そのメッセージはスペイン戦に向けたアドバイスでもあった。

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