2021.08.01

最悪の出来だったU-24日本代表。それでも彼らは苦戦を勝ち切る要素を備えていた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 しかしながら、ひとつの大会を最初から最後まで強い勝ち方で制することなど、そうそうできるものではない。

 例えば、EURO2008で優勝したスペイン。華麗なポゼッションサッカーを武器に、圧倒的な攻撃力で大会を制した印象があるものの、準々決勝はスコアレスからのPK戦。辛うじてイタリアを退け、準決勝に勝ち上がっている。

 内容はともあれ、多少の運も味方につけ、苦しい試合を乗り切れるか否か。そこに上位進出のカギがある。

 日本は目標の金メダル獲得へ、ひとつの大きな山を乗り越えたと言っていいだろう。

 と同時に、日本の選手たちは、その山を乗り越えるために必要な要素を備えていたとも言える。

 PK戦を前に、森保一監督はキッカーを指名することはせず、選手自らに立候補させたという。3人目のキッカーを務めたDF中山雄太曰く、「自信のある人が蹴った。順番も僕らが決めた」。

「この(PK戦までもつれ込む)状況を作ったのは僕。1本目を蹴って勢いづけることしかできない。自信もあった」(FW上田綺世)

「決める自信はあった。なるべく落ち着くように言い聞かせて、自分のキックに自信を持って蹴るだけだった」(DF板倉滉)

 外せば終わりの瀬戸際でも、選手たちはまるでひるむことなく、次々に手を上げた。「PK戦まで持ち込まれてしまった」というネガティブな心理状態に陥るどころか、相手を飲んでかかっていた。

 その結果が、4人全員成功。2人目のキッカーがGKにセーブされたばかりか、3人目が枠を外したニュージーランドとは対照的だった。

 殊勲のGK谷晃生が語る。

「(相手選手のPKの)データは見たが、全然頭に入ってこなかったので、自分の直感を信じて全力で飛ぼうと思った(苦笑)。タイミングもバッチリだったし、読みどおり当たったなという感じだった」

 MF遠藤航に至っては、「"せっかく"こういう舞台で蹴れるチャンスなので、自分が蹴りたいと思った」とまで言う。