日本がメキシコに完勝した理由。メダルへの課題はボール支配率と選手交代 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

◆日本の五輪3戦目フランスは戦力大幅ダウン。スペインはドリームチームで出場

 ゲームをいかにコントロールするかも焦点だった。具体的には、42%対58%だった前半のボール支配率の関係を、どう改善するか。奪うだけでなく、ボールを広く動かす展開力、パスワークの発揮どころになった。

 ところが、この2点とも不満が残る結果になった。森保監督が行なった交代は、計3度で終了。第1戦の南ア戦も4度で終わったので、2試合で10人分ある交代枠を、7回しか活用していないことになる。また、この日、いじったスタメンも1人のみだった。現時点で、出場時間をシェアできている状態にはない。金メダルを狙うチームの監督には相応しくない采配になっている。

 2018年ロシアW杯の西野(朗)采配を彷彿とさせる、選手交代と言われても仕方がない。

 選手は、そんな監督采配を何気に見ているものだ。プレッシャーが掛かると、あるいは目の前に勝利がちらつくと、固まりがちになる監督を見て、少なからず不安を覚えているのではないか。森保監督はこの傾向を、2020年1月に行なわれたU-23アジア選手権などでも見せている。代表監督の資質が問われていると言っても言いすぎではない。

 自力で決勝トーナメントに進むためには2点差で負けることが許されなくなった第3戦。森保監督はフランス戦に、いったいどんなメンバーで臨むのか。この日と同じ11人を並べ、そして交代枠を使い切らないのであれば、日本の金メダルは危ない。

 ボール支配率に話を戻せば、結局、前後半を合わせた数字は41%対59%と、前半の数字より広がることになった。相手は後半23分から10人で戦っているというのに、だ。日本が後半40分、失点を喫した理由でもある。ゲームをコントロールできなかったツケが響き、1点差に詰め寄られ、慌てることになった。

 日本には久保や堂安など、相手に負けない技術を備えた選手を何名か擁している。実際、局面ではメキシコ以上と言いたくなる光るプレーを発揮した。その技術力がボール支配率になぜ反映されないのか。

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