こんな勝ち方もできるのか。U-24日本代表がメキシコ戦で見せた「強者のサッカー」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

「相手の左サイドバックの選手が普段中盤の選手だとスカウティングでわかっていたので、背後へのボール(への対応)にはあまり慣れてないだろうと思ったが、まさかあんなにうまくいくとは思わなかった」

 堂安はそう振り返りながらも、「(久保が)よく合わせてくれた。(パスを出した自分よりも)合わせたほうがうまい」と、久保のフィニッシュを称えた。

 当の久保も、こともなげに言う。

「相手とギリギリ競り合っている状態でボールが来たので、あのままインサイドで打ったら、たぶん(シュートが)右に流れてしまうなと思った。(堂安からのパスが)軌道がマイナスのボールだったので、アウト(サイドのシュート)でいい形で(打って)、そのままいい感じにファーへ行ったらいいなと思ってシュートした」

 あたかも強豪国が見せるような、堂々たる得点だった。

 一方で、冒頭でも記したように、相変わらず課題はある。

 例えば、試合の進め方。2-0とリードしたまま後半に入り、さらには相手に退場者が出たことを考えれば、ボールを保持しながら時間を進め、どこかで3点目を奪ってトドメを刺す。そんな展開が理想だったにもかかわらず、トドメを刺すどころか、1点を返され、あわや同点のピンチさえも迎えた。

 初戦に続き、選手交代も効果的には見えず、その後の試合をどう進めるかのメッセージとしては曖昧なものになっていた。

 終わってみれば、薄氷の勝利である。

 しかし、勝ち上がりながら修正点をひとつずつ潰し、尻上がりに状態を上げていくことは、こうした大会を勝ち上がっていくうえでは必要な条件のひとつである。

 メキシコのキーマン、背番号10のMFディエゴ・ライネスを封じたDF中山雄太が「完璧はない」と言い、修正点があることは認めながらも、「結果がついてきて反省できるのはいいこと」と話す。

 徐々に勢いを加速させつつあるチーム状態を見ていると、修正すべき課題を残していることも含め、勝ち上がりの条件を備えているように見える。

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