U-24日本代表・田中碧「勝ったからいい」。最終的に好成績を残すチームの初戦は得てしてこういう試合 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 欲を言えば、もう1点取って試合を終わらせたかったところだが、初戦で勢いに乗りつつ、気を引き締めるには、内容、結果とも悪くない試合だろう。決めてほしいところで、決めるべき選手が決める。何とも劇的な展開だった。

 無失点に抑えたGK谷晃生は「これが国際大会の初戦なのかな」と落ちついた口調で振り返り、「ゲームコントロールしながら(試合を進めることが)できたので、それが1-0の勝利につながった」と安堵の言葉を口にする。

 実際、他の試合に目を向けると、波乱と言ってもいい結果が少なくない。豪華メンバーをそろえ、優勝候補と目されるスペインはエジプトを相手にスコアレスドローに終わり、アジアのライバル、韓国はニュージーランドに0-1と不覚を取った。

「正直、勝ったからいい」

 そう言って、心底ホッとしたように笑顔を見せたのは、MF田中碧だ。

「(試合の)締め方とか注文をつけるところはあるが、(勝ち点)3を取ることが何より。しっかり勝ててよかった」

 決勝ゴールをアシストしたボランチの言葉には、この試合が持つ重みが表れている。

 これが3度目の五輪出場となるキャプテンのDF吉田麻也は、「(結果は)最低限のところかな」と切り出し、「前半、ちょっとセーフティーにいきすぎたところがあった」と振り返る。

「緊張感があるし、いつもと違う独特の雰囲気がある。今日はボールを大事にしすぎた感は否めない」

 そう言って課題を指摘しつつも、「よくタケが決めてくれた。後ろも焦れずに我慢できたなと思う」と吉田。頼もしい後輩たちを称え、「ここでひとつ試合ができて、ひとつ勝てたので、次はもうちょっとリラックスというか、肩の力を抜いてやれるんじゃないか」と、早くも次戦以降に視線を向けた。

 当然、これから起こりうるアクシデントにも対応していく必要がある。

 この試合では、ディフェンスの要であるDF冨安健洋が左足首の負傷で欠場。ベンチ入りメンバーからも外れていた。

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