U-24日本代表・田中碧「勝ったからいい」。最終的に好成績を残すチームの初戦は得てしてこういう試合

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 既視感を覚える試合、とでも言おうか。

 最終的に優勝するとか、メダルを獲得するとか、好成績を残すチームの大会初戦とは、得てしてこんな試合になるものなのかもしれない。

 東京五輪グループリーグ初戦、日本は南アフリカに1-0で勝利した。

初戦の南アフリカ戦を1-0で勝利した日本初戦の南アフリカ戦を1-0で勝利した日本 ボールポゼッション率、シュート数など、数字の上では優勢に試合を進めているものの、肝心のゴールがなかなか奪えない。臨戦過程では大きなアドバンテージがあるはずの日本にとっては、焦れったい展開が長く続く試合となった。

 特に後半に入ってからは、立て続けにチャンスを作り出しながら、それを決め切れずにいると、日本の攻撃は次第に停滞。嫌な流れは決定的なものになりかけていた。

 しかし、だからこそ、MF久保建英が左足で叩き込んだゴールは値千金だった。

「苦しい時間帯だったが、『今日(ゴールを)決めるとしたら自分だ!』と思っていた」

 堂々と言い放つ20歳が頼もしい。

 決勝ゴールは71分まで待たなければならなかったが、事前に伏線は張られていた。

 前半15分、久保は左サイドからのクロスを逆サイドで受けると、「ポストに当たって入るくらいのイメージ」でニアサイドを狙ってシュート。これはわずかに枠外にそれたが、「前半、ニアに打って外していたので、ファーを狙おうと思った」。

 今度は相手DFの間をすり抜けたシュートが、ファーサイドのゴールポストを叩いてインゴールに転がった。

「結果、いいゴールが決まってよかった。シュートは練習してきた。量は裏切らない」

 久保はそう言って胸を張った。

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