U-24スペイン戦を同国の名指導者が分析。日本の技術とスピードを評価「カウンターは脅威だった」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして42分、左サイドで素早いスローインを受けた久保は絶妙なコントロールで、マーカーのマルティン・スビメンディを置き去りにしている。エリア内に入ってきた堂安を感じ、ラストパス。堂安はこれをダイレクトでニア上へ蹴り込んだ。日本らしい、技術とスピードの融合が生きたスーパーゴールだった」
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
 戦況は不利だった日本が、前半を終わって1-0で折り返した。エチャリは前半の戦いについて、及第点を与えた一方、後半に関しては現実的な分析をした。

◆スペインの名指導者が推す東京五輪でカギを握る7人。「U-24世代では1、2を争う逸材」と絶賛した選手は?

「後半の立ち上がり、日本は7人もの選手を一気に交代させている(ちなみにスペインは3人)。システムは同じだったが、ほとんど違うチームだったと言えるだろう。とりわけ、吉田麻也、冨安健洋、酒井宏樹、遠藤航はこのチームの根幹を担っているのだが......。

 スペインが主導権を握るなか、0トップに入ったミケル・オヤルサバルなどが決定機を迎えている。前半と違い、日本の守備陣形を崩していた。シュートがポストを叩き、GK大迫敬介がセービングするなど、入ってもおかしくないシーンが多く見られている。

 それでも、日本は久保がいる間は、果敢にカウンターでボールを運び、敵陣に迫っていた。前田大然に決定的なボールを供給、これは相手に阻まれたが、反撃姿勢を見せていた。だが後半21分、上田綺世と交代すると攻め手が激減した。結果、人海戦術で守るだけになってしまった。

 一方のスペインは後半23分に、MFペドリを投入。この交代で一気に流れを呼び込んでいる。ペドリは左サイドを中心にボールをつなぎながら、相手を引きつけ、決定的なパスを送った。歩くようにボールに触るので、パスのタイミングがなかなか読めない。後半33分、ペドリは左サイドを崩すパスを送り、そのクロスからの流れでカルロス・ソレールがポストの内側を叩くシュートを決め、同点に追いついた。

 単刀直入に言って、日本は前半と比べると、後半のチームは戦力が落ちている。ただ、同じコンセプトで戦うなかで、カウンターは変わらず脅威だった。例えば上田綺世はGKと1対1になり、終了間際のセットプレーは入ってもおかしくはなかった。

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