日本と優勝候補スペイン。「善戦」ではなく「倒す」ために必要なのは何か (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 また、三好康児も、4-2-3-1の「3」の列で使うより、4-3-3のインサイドハーフのほうが適任に見える。先述の田中碧もこのポジションを、少なくとも川崎フロンターレでは問題なくこなしていた。

 もうひとつの策は、両SBをより中盤化させることだ。パスワークに絡む回数を増やすという意味だが、この点もスペインとの大きな違いだった。この日、SBとしてプレーした4選手、酒井宏樹、橋岡大樹(右)、旗手、中山雄太(左)は、いずれも端役的だった。相手のウイングに押し込まれたこともあるが、専守防衛で、攻撃に関与する回数がスペインの両SBに比べて圧倒的に少なかった。

 SBが活躍したほうが勝つとは、欧州ではだいぶ前からの定説だが、日本サッカーにはまだ広く浸透していない。森保ジャパンしかり。サイド攻撃をウイング(4-2-3-1の「3」の両サイド)に委ねる傾向がある。ペドリ、そして左SBのフアン・ミランダが絡んだ、スペインの同点ゴールのようなシーンが拝めるようになれば、日本のパスワークはワンランク上昇する。

 日本には、この日、出場しなかった三笘薫という武器が残されているが、問われているのは周囲との融合だ。

 準決勝以降で再びスペインと対戦したならば、日本はサッカーの内容的な差を、どこまで詰めることができるか。森保一監督にとっては腕の見せどころだ。この日のように、中盤省略のカウンターサッカーに頼りすぎると、強豪に対して1勝することはできても、連勝することは難しい。「5~6番人気」の日本は、前評判をどこまで覆すことができるか。1番人気のスペインともども、その行く末にとくと目をこらしたい。

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