丸山桂里奈が感じていた女子サッカー界の違和感と危機感。なでしこ優勝後も「そんなに変化はなかった」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

丸山桂里奈インタビュー(後編)

 なでしこジャパンのFIFA女子ワールドカップドイツ大会優勝の偉業から10年。丸山桂里奈さん(以下、敬称略)は、エンターテインメントの世界で活躍中だ。テレビで見ない日はないほどなのではないだろうか。

「元々この世界に入りたいって訳じゃなかったんです。事務所の人もサッカーの試合の解説をしてもらいたかったんだろうと思うんですよ。でも、私の様子を見ていて『おやおや?なんか違うな?』って思い始めたんでしょうね。バラエティは好きでしたし、これまでサッカーしかやってこなかったから、こういうのもやってみたいなって。サッカーは楽しいよりもツラいこともあったし......(笑)。今は面白い!と思うことを全力でできるので楽しいです」

テレビで活躍しながら、サッカースクールも開催しているという丸山桂里奈さんテレビで活躍しながら、サッカースクールも開催しているという丸山桂里奈さん 改めて丸山がサッカー選手であったことを思い出してもらえたのが、東京オリンピック聖火ランナーのオープニングで、なでしこジャパンの一員として走ったことだったという。

「本当にサッカーやってたんだねって言われました(笑)。でも、この聖火ランナーの最初に、オリンピックで金メダルを獲った人じゃなくて、ワールドカップで優勝した私たちが選ばれたっていうのは正直驚きました。久しぶりにみんなと会ったけど、全然変わらなくて逆に怖かった(笑)。私からしたら、こんなふざけたメンバーで、あの時サッカーやってたんだなって思いました。でも10年経ってる気がしないというか、あの時の空気に一気に戻りましたね」

 今の状況がどうであれ、当時のメンバーの中に入るとあの頃の"カリナ"の立ち位置にスーっと収まっているのが微笑ましかった。

「パワーバランスは変わらない(笑)。私もトーチを持ちたいなって思って、持ち方とか練習してたんですよ。澤(穂希)さんが来られなくなって、私にもチャンスがあるかと思ったけど、結果、東北出身のイワシ(岩清水梓)が持った。まあそうなるよね(笑)。

 こういうコロナ禍で難しい時期だし、いろんな意見があるけれど、あのメンバーでスタートを走れたのは本当にうれしかった。もちろん、あのメンバーに会えたってこともそうだけど、自分がお世話になった福島だったし、一生忘れられないですね」

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