丸山桂里奈が語るなでしこジャパン10年前のW杯。ドイツ戦での劇的ゴール後、会場の雰囲気に「気持ちワル!!」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

丸山桂里奈インタビュー(前編)

 現在、テレビでタレントとして活躍している丸山桂里奈さん(以下、敬称略)。ちょうど10年前、なでしこジャパンが出場したFIFA女子ワールドカップドイツ大会の準々決勝で地元ドイツを相手に延長で劇的な決勝ゴールを決めて、一躍脚光を浴びた。その丸山さんが決勝までの1カ月を振り返った。当時から今も変わらない"丸山ワールド"全開の話となった。

スーパーサブとして期待に応えて、大きな1点を決めた丸山桂里奈さんスーパーサブとして期待に応えて、大きな1点を決めた丸山桂里奈さん「あの大会で最も印象に残っている試合は?」と質問を投げると、意外にも得点を決めたドイツ戦ではなく、前回(6月16日配信記事)の岩清水梓(日テレ・ヴェルディベレーザ)と同じイングランド戦を挙げた。

「すごく鮮明に覚えてるんですけど、ここで勝っていれば次はフランスと対戦だったんですよ。当時のフランスはそれほど強豪ってわけじゃなかったのに比べて、ドイツはオリンピックでも金メダルを獲っていたし、さらに自国開催のワールドカップでぶっちぎりの優勝候補だったから、強かったですよね」

 当時のドイツはノリにノっていて、向かうところ敵なし。とんでもない相手だった。今ではフランスも恐ろしい相手だが、当時は選手の誰もがフランスと戦いたいと願っていた。ところが、準々決勝の相手が決まる重要なグループリーグ最終戦で日本は、イングランドに0-2で完敗。スーパーサブだった丸山の凹み具合も相当だった。その理由を彼女は笑いながら振り返った。

「イングランド戦後に、選手同士で意見をぶつけ合ったというか、まあ怒られたんです(笑)。せっかくサブが入っても、流れが変わらない、シュートは打たない......そりゃ怒りたくもなるって思いました。みんなイングランド相手に想定と違う戦い方になっちゃったから、サブはサブで『次はしっかり役目を果たそう!』って一致団結したんです。あそこでサブも吹っ切れた感じでした」

 丸山にとっては、この意見をぶつけ合ったイングランド戦後の時間が重要だった。そして開き直るために選手たちは意外なところに目をつけた。

「ドイツと対戦するっていうことは同じホテルに宿泊するんですけど、開催国ですからめちゃくちゃいいホテルだったんです! 街中がもうドイツ優勝!みたいな雰囲気でしたけど、『一番いいホテルに泊まって、Wi-Fiも使える。それだけでもよかったと思おう』って(笑)」

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