U-24日本代表がホンジュラス戦に快勝も、金メダルへ気になったポイント (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もうひとり、ACLに出場した関係で合流が遅れている三笘薫(川崎フロンターレ)も右利きだ。右利き、左利きをこの「3」の列に、どう並べるか。左利き3人を並べた今回は、それをいい意味での特異性として表現することができなかった。組織力を働かせることができなかった。暴れたプレーというか、出たとこ勝負の即興芸に終わっていた。

 さらに、その背後との関係も円滑ではなかった。守備的MFとサイドバック(SB)との関係だ。ここには、酒井宏樹(浦和レッズ)と遠藤航(シュツットガルト)というオーバーエイジの助っ人が控えている。2人とも、いまよく取り沙汰されるデュエル、インテンシティに優れた選手だが、テクニシャンではない。周囲との細やかな絡みは得意ではない。タイプが異なる三好、久保、堂安と絡むと、その硬質さが際立つことになる。

 思わず、右SBは酒井より多彩さのある山根視来(川崎フロンターレ)のほうが適任に見えてしまう。そんな無い物ねだりをしたくなる。

 ここ1年でグッと評価を高めた遠藤も、守備的MFとしてゲームを収める力はついていない。一本調子に陥りがちな「3」のプレーを、正しい方向に導き、組織的に整える力のことである。彼らのリズムに支配されがちな流れを、適正な方向に正すことが、ボランチ本来の役割になるが、そこまでのハンドル操作術に長けているかと言えば、疑問だ。オーバーエイジならではのベテランの味を、ホンジュラス戦で遠藤が発揮したとは言い難い。

 同じことは、さらにもう1列下で構える吉田麻也(サンプドリア)についても言える。先制点をマークしたシーンでは貫禄のようなものを感じたが、90分間トータルでは、セリエAでプレーする32歳という看板通りの存在感を発揮できなかった。最後尾から前線へ向けて、メッセージ性のあるプレーを発信するエネルギーに欠けていた。ユーロ2020を制したイタリア代表で言うところの、ジョルジョ・キエッリーニ、あるいはレオナルド・ボヌッチ役になりきれなかった。

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