遠藤保仁vs中村憲剛。どっちのスルーパスがすごかった? 玉田圭司が詳細解説 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

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 ヤットさんは、ボールを持っている時は常に複数の選択肢を持っています。そこで自分が良いポジションにいれば、ボールが来る。その信頼感はすごくありました。

 僕はFWとしては小さくてフィジカルもそんなにあるほうではないし、ボールを触りながらリズムを掴むタイプです。そこを理解してくれていて、良い形でもらえそうなら僕にスパッとパスを入れてターンをさせたり、一回僕に当ててヤットさんに戻してといった遊びのパスを入れてくれました。周りの特徴を把握した上で、気持ちよくプレーさせるのがうまい選手でした。

 憲剛には2008年のキリンチャレンジカップのシリア戦でアシストしてもらったことがあって、それはよく覚えています。アーリークロス気味の柔らかいボールを僕が押し込んだシーンで、パスを出すタイミングもパススピードも、すべて僕がほしい完璧なボールでした。あの時は憲剛が蹴る前から良いボールが来る予感はありましたね。ああいうプレーから信頼関係は生まれるものだと思います。

 そうしたイメージの共有ができるのは、すごく大事です。サッカーは当然ですが、一人でやれることには限界があります。良いコンビネーションは周りの味方とイメージを合わせて生まれるもので、2人とはイメージの共有がよくできました。

 イメージを共有するために、お互いに話し合うことはもちろんありますが、なによりそれぞれの特徴やクセを把握しながら、練習や試合ですり合わせていくのが大切です。

 ヤットさんはパスをもらう時、必ず自分の右足の前にコントロールします。いつも同じところにボールを置ける技術はものすごく高かったです。常にプレーできるところにボールがあるので、パスの受け手としては走りやすかったです。

 ヤットさんのパスは本当に優しいパスで、相手がどうしたいかによってパススピードを変えて、相手が受けやすく気持ちのいいパスをいつもくれました。

 憲剛はヤットさんとはまた違って、左右どちらの足でもパスが出せる選手です。だからボールの置きどころによって裏に出したいとか、足元につけたいとか、次にやりたいプレーがわかりやすかったですね。

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