南米の強豪と「同じ目線で戦っていた」。森保ジャパンが見せていた日本サッカーの進化

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 しかし、同点にされた日本は反発力を見せた。

 中島が左サイドのドリブルで相手を翻弄し、果敢に右足シュートを放つと、GKが取り切れず、こぼれ球を大迫勇也が押し込む。バックパスのミスから失点を許すが、堂安律が敵陣でボールを奪ってからのワンツーで切り込み、再び逆転のゴールを決めた。さらに堂安の左足ミドルがGKを襲い、そのこぼれ球を南野がゴールに突き刺す。1点を返されたものの、4-3で勝利を飾った。

「選手がFIFAランク5位のウルグアイに対し、同じ目線で戦っていたと思います。海外でプレーしている選手たちの中には、チームメイトにウルグアイの選手がいたり、日頃、同じリーグ戦で戦っていたりするので」

 試合後、森保監督はそう振り返っている。

「これまでの選手個々の経験も大きいと思います。例えばロシアワールドカップでベルギーと戦って、結果的に負けはしましたが、そこでも同じ目線を持って、"互角の戦いができる"という自信を、日本代表として、日本サッカーの自信として選手たちが持ってくれました。それが、今日のゲーム内容につながったのではないかなと」

 日本サッカーは確実に進化を遂げてきた。その主因は多くの日本人選手がヨーロッパを舞台に戦うようになり、高いレベルの戦いが日常になったことにあるだろう。南野、中島、堂安はベルギーと死闘を演じたロシアワールドカップには選ばれていなかったが、この段階ですでに欧州で研鑽を積んでいた。

「日本サッカーはブラジルサッカーの影響を受けながら、進化してきたと思う。アジアの中でも特記するほど技術が高い。日本のアタッカーたちはスピードとテクニックに優れ、シュート力にも長けている」

 ウルグアイのオスカル・タバレス監督はそう言って、日本サッカーを冷静に激賞していた。実に興味深い考察だろう。

 日本サッカーはブラジルを中心に海外からいろいろな要素を受け入れ、進化成長してきた。Jリーグで台頭した選手たちがやがて海を渡って、経験を重ねることで、さらに殻を破った。

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