中村俊輔と遠藤保仁、FKがうまいのはどっち? 名手・木村和司が判定

  • text by Sportiva
  • photo by AFLO SPORT

 私も現役時代、特にJSLの日産時代はよく練習後にFKを蹴っていた。シゲことGKの松永成立を相手にジュースを賭けたりして、楽しみながらやっていることが多かった。ほとんど自分が勝っていたから、クラブハウスの私のロッカーにはジュースが山積みになっていた(笑)。

 ともあれ、シゲも私の練習につき合っているうちにうまくなっていった。日本代表のGKになるまでに成長したのも、自分のおかげだと思っている(笑)。

 少し話が逸れたが、俊輔もそれと同じように、仲間たちと一緒にFKを日々蹴っていたと思う。誰が多く決められるか、ジュースなどを賭けて勝負していたかもしれない。でも、たぶん俊輔がいつも勝ってしまうから、しばらくして誰も一緒にFKで遊んでくれなくなったのではないだろうか。彼のFKのすごさからは、そんな過去も思い浮かべることができる。

 FKの種類が多いということは、それだけいろいろな蹴り方ができるということ。足を振り抜いて大きく曲げることもあれば、コントロール重視でスパッと止めるような打ち方をすることもある。

 それによって、スピードの強弱や、曲がり幅、落ちる角度など、いろいろと調整している。つまり、俊輔はどうやって蹴ったら、どれだけボールが曲がるのか、どれだけ落ちるのか、それがわかっているし、調節できるということだ。

 もちろん、ボールのどこを蹴れば、どんな回転をして、どう変化するのかもわかっていると思う。それほど、彼はサッカーが好きだし、研究熱心。まさしく「サッカー小僧」と呼ぶにふさわしい選手だ。

 そんな彼には、誰も適わない。ゆえに、たとえ遠藤でも俊輔には及ばない。

 自分と比べて? もちろん、俊輔のほうが上。日本で見てきた選手の中では、ナンバー1。FKで彼に勝るような選手はいない。

 FKを教えたか? それはない。俊輔に教えることはないし、指導者を含め、彼に教えることができる者など誰もいない。

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