日本代表が見せた守備練習のような一戦。「スペインの強さ」を誤解していた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

 スペインの当たりはめちゃ強い。日本ではあまり負けなかったけど、スペインでは同じ体勢なら負けますね。迫力が違いますから、あんまり当たらんようにせんと。当たらなくてもいいポジションを取ることが大事だと初めて痛感しました。ごまかしがきかない」

 まさに修羅の世界だった。

◆中田英寿を上回る天才に起きた悲劇。リーガに「ぶっとんだ自信」で挑んだ

 乾がスペインで活躍することができた理由は、クラブや監督に恵まれたこともあるだろう。先日、退団が決まったが、エイバルは小さなクラブでプレッシャーが少なく、バスク地方には日本、あるいはドイツにも近い風土、メンタリティがある。ホセ・ルイス・メンディリバル監督は質実剛健を愛し、選手に対する差別が一切ない。守備の強度やタイミングを学び取りながら、持ち前のスキルを見せられるようになった。

 レアル・マドリードが保有権を持つ久保は、技術だけでなく勝負強さも見せている。バルサで幼少期を過ごしたこともあるが、スペイン人以上にスペイン人的で、図太さがある。マニアックな戦術家やフィジカル重視の指揮官との相性は良くないが、一瞬で得点機会を作り出せるセンスはリーガでも屈指だ。

 2021-22シーズン、久保は高く羽ばたくことができるか。コルドバでの惨敗劇から20年目となる。
(つづく)

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