森保ジャパン、最終予選へ残る不安。格下に勝って喜んでいる場合じゃない (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

◆日本代表、大迫不在時の解決策。浅野拓磨の2つのプレーに注目>>

 もちろん、控えメンバー中心の日本が決めた正真正銘の3ゴール自体は称賛に値するが、先を見据えて厳しく考えた場合、この試合で見せたパフォーマンスがそのまま最終予選ではほとんどできないことも頭に入れておく必要はあるだろう。

 とくに今年に入ってから代表でプレーするようになった選手にとっては、入門編の試合を終えただけで、対戦相手のレベルが高くなる上級編の舞台にはまだ立った経験がない、と言える。今後は、各選手がそのギャップをどれだけ埋められるかが問われる。

 一方、後半の日本は、コーナーキックから佐々木翔(サンフレッチェ広島)が、カウンターから浅野がそれぞれゴールを決めて2点を加えたものの、立ち上がりの15分は1本もシュートを打てず、すっかり攻撃が停滞した。

 その間にクロス6本を記録したが、前半と比べるとペースダウンは否めず、敵陣での縦パス供給も4本のみ。最終的に後半は8本の縦パスを記録したが、前半の12本からは減少し、クロスに至っては12本に激減している。

 そのなかで見逃せなかったのが、68分に見せた森保監督の采配だった。

 1トップのオナイウを下げて佐々木を投入し、プランBの「3-4-2-1」へシステム変更したその策は、日本の攻撃にキルギスが順応できるようになっていた時間帯だけに、試合の流れを変えられるかどうかが注目された。

 しかしながら、その後にピッチで起こっていた現象を見ると、その采配は失敗に終わったと言わざるを得ない。

 5-4-1で構える相手に対し、同じように両ウイングバックを配置するシステムを当てたことにより、小川、山根、その後に右ウイングバックで起用された室屋成(ハノーファー)が前進しにくい状況が生まれた。後半のボール支配率は15分ごとに、72.9%(46~60分)→70.1%(60~75分)→59.6%(75~試合終了)。結果的にシステム変更後に数字が低下している。それは、クロスの本数にも如実に表われ、システム変更前の8本が、変更後には4本に減少した。

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