森保ジャパン、最終予選へ残る不安。格下に勝って喜んでいる場合じゃない (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 実際、日本が前半で決めた3ゴールすべてが、サイドからのクロスによるものだった。相手のハンドボールを誘ったPK判定のシーンを演出したのは、山根視来(川崎フロンターレ)が右サイドから入れたクロス。2点目は、右サイドを突破した川辺駿(サンフレッチェ広島)のクロスから生まれた。さらに、オナイウ阿道(横浜F・マリノス)のハットトリックが達成された3ゴール目のアシストも、左サイドからクロスを供給した小川だった。

 5バックの相手に対して、絵に描いたようなサイド攻撃でゴールを重ねた日本だったが、しかしその一方で、それぞれのゴールシーンをよく見てみると、その主な原因が相手にあったと見ることができる。

 たとえば、PKにつながった27分のシーンでは、日本がボールを保持するなか、敵陣で川辺が浅野拓磨に供給したパスが合わずに相手ボールに。直後に川辺が素早くアプローチしてタックルをしかけたことが奏功し、ルーズボールを守田英正(サンタクララ)が回収。そこから4本のパスをつないで山根がオナイウにクロスを供給している。

 しかしそのシーンで、仮に川辺のタックルがかわされていた場合、7番を含めたキルギスの5人に対し、4人での守備対応を迫られ、ピンチを招いた可能性は高かった。つまり、日本がトランジションで相手を上回ったとも言えるが、相手の個人能力の低さに救われたとも言える、紙一重のシーンだったのだ。

 これは、W杯アジア最終予選に進出した、イラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビア、イラクなどの強豪国であれば、失点を覚悟する必要がある場面だった。

 また、31分の2点目のシーンは、右サイドで3人に囲まれながら、川辺が強引に突破を図ってクロスを入れてゴールが生まれたが、これも最終予選でできるかと言えば稀と考えるのが妥当。互角以上の相手であれば、このゴールが生まれていなかった確率は高い。

 それは、3点目のシーンにも言える。小川のクロスに対し、かぶってしまったキルギスの20番、あるいはオナイウ阿道を視界に入れながら離れてしまった6番の対応を見るにつけ、最終予選レベルの試合で同じようなゴールが生まれるかは疑問が残る。

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