OA効果で久保と堂安は共存OK。だが五輪代表には課題が2つ残っている (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 これは、昔から森保監督の人柄を知る、私個人の考えにすぎない。ただ、それくらい他者の気持ちを大切にしながら、丁寧に仕事を進めるのが森保監督だ。ここで選出されない選手はもちろん、最終選考に呼ばれなかった選手に向けてのメッセージも込められたような選手起用だった。

 今回の3試合で最も注目したのは、堂安律と久保建英が共存できるかという点だった。2019年11月に行なわれたU-22コロンビア代表との試合では、2人は揃って先発したものの、攻撃の形がつくれなかった。

 あれから約1年半、両選手は攻撃で噛み合うところを見せてくれた。スタート時点では久保が2列目中央、堂安が右アウトサイドに位置したが、両者がポジションを変えながら互いの存在と場所を意識して、それぞれの良さを出そうとしていた。

 その意識が強すぎるあまり、ゴール前でシュートを打ってもいい状況でも、もう1人を探してパスを出してしまう場面も見られた。しかし、このあたりはここから本番までの期間で十分修正できるはずだ。

 2人が共存できた背景には、右サイドバック(SB)の酒井はもちろん、中盤の底で遠藤、最終ラインに吉田がいたことがある。後方にしっかり守ってくれるOAの3人がいるので、攻撃への比重を増やして大胆に攻め込めたのだろう。

 堂安と久保、そこにSBの酒井が連係する攻撃には迫力があったし、五輪本番でもこの3選手が絡んだ攻撃からチャンスをつくりだしてくれるはずだ。

 U-24代表の課題を挙げれば、ひとつは攻撃面で、堂安と久保がいる右サイド偏重になりやすい点だ。左右バランスよくというのはあくまでも理想で、どんなチームであってもどちらかに偏るもの。とはいえ、もう少し左サイドからの攻撃が機能し、相手の意識を日本の右サイドから離すことができれば、堂安や久保が攻め込むスペースがもっと生まれるだろう。

 例えば、左サイドで川崎フロンターレ所属選手のコンビネーションを活用することを考えてもいいのではないか。左サイドハーフ三笘薫、左SB旗手怜央、守備的MF田中碧のトライアングルを築いて、"川崎ライン"の良さが発揮できれば、ここに1トップが絡んでゴールに迫る形をブラッシュアップしていくことも可能だろう。これで、左右どちらからも厚みのある攻撃が実現するはずだ。

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