オナイウ阿道が典型。一連の代表活動で台頭した選手には共通項がある (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 なかでも、今回台頭してきた新戦力に共通するのは、プレーの質や強度が高いチームに所属しているということだ。オナイウの横浜F・マリノスにしても、谷口、山根の川崎フロンターレにしても、それに当てはまる。

 J1連覇へ独走を続ける川崎は言うまでもないが、一昨季J1王者の横浜FMもまた、非常に高いレベルで連動した攻守を繰り返しているチームだ。オナイウの細かな、それでいて質の高い動きを見ていると、日常的に高い要求のなかでプレーしていることをうかがわせる。

 少し時間をさかのぼれば、オナイウからそんな"巧みさ"は感じられなかった。U-23代表をはじめ、年代別代表に選ばれていた頃も、プレーはもっと大味で、身体能力の高さを生かしたスピードやパワーが持ち味だった。

 実際、2017年、ジェフユナイテッド千葉から浦和レッズへ移籍した時は、当時のペトロヴィッチ監督が志向するサッカーに対応できず、かなり苦しんでいた。開幕前のキャンプ中から明らかに戸惑う様子が見られ、結局適応することができないまま、リーグ戦出場はわずか1試合でシーズンを終えている。

 だが、今のオナイウに、当時の"粗さ"は見られない。

 コンパクトな布陣で攻守が連動したサッカーを志向する横浜FMでは必然、ボールを奪い取る強度が求められると同時に、狭い局面でも正確にボールをコントロールする技術も求められる。

 そんななかでも、オナイウは巧みにボールを収め、時に味方を生かし、時に自らシュートまで持ち込み、センターフォワードとしての役割を果たしている。日常的にプレーする環境が、より早い判断や、より正確な技術を彼に身につけさせていることは、想像に難くない。

 Jリーグでも質の高いサッカーを実践できるチームが増え、その成果が日本代表の戦力底上げにつながる。こうした循環がさらに活発になれば、Jリーグのレベルアップはもちろん、日本代表の強化にとっても理想的だ。

 次に日本代表に新戦力を送り込むのは、サガン鳥栖、あるいは浦和レッズあたりかもしれない。

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