オナイウ阿道が典型。一連の代表活動で台頭した選手には共通項がある (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 ゴール以外にも見どころは多かった。とりわけストライカーらしい雰囲気が漂ったのは、43分のシュートシーンだ。

 左サイドの小川諒也から斜めに入ってくるパスを、オナイウは少し下がりながら受けると、トラップから振り向きざまに右足を振り抜いた。

 シュート自体は不正確で得点にはならなかったが、動き出しからシュートまでの一連のプレーは流麗、かつ豪胆なものだった。

「個人としてゴールや結果、数字は出せたと思うが、攻撃の起点になるような、スイッチを入れたボールに反応できる回数を増やせたらなと思う」

 ハットトリック達成の試合を、そう振り返ったオナイウ。追加招集からわずか2試合に出場しただけとはいえ、今回の日本代表の活動のなかで大きく評価を高めた選手のひとりであることは間違いない。

「かなり選手を変えながら試合をしたが、より多くの選手にチームコンセプトを理解してもらい、誰が出てもチーム力を落とさずに戦える」

 森保一監督がそう振り返ったように、5月28日のミャンマー戦からスタートした今回の日本代表の活動で目立ったのは、オナイウをはじめとする新戦力の台頭である。

 森保監督就任後では初招集となった谷口彰悟は、セルビア戦で出色の働きを見せ、3月の韓国戦でデビューしたばかりの山根視来に至っては、すでに周囲との連係を自らリードするかのような堂々たるプレーぶりだ。

 彼らがただちにレギュラー格の選手を脅かすまでにはなれなくとも、森保監督の言葉を借りれば、「選手層を厚くしながら、チームコンセプトのベースのレベルアップはできてきている。そこにおいては確実に前進できている」。しかも、そうしたチームの底上げが、国内組の力によってなされていることは頼もしく、心強い。

 そこには当然、指揮官の姿勢も大きく影響している。昌子源が「僕が最初に(日本代表に)呼んでもらってデビューするまでに、確か2年か、3年かかった」と振り返り、「当時、僕の実力がなかったというのもあるが」とつけ加えたうえで、「森保監督(に呼ばれた選手)は初選出初出場があったりして、うらやましい」と語っているとおりだ。

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