岩清水梓が産後復帰に向けて必要だと感じたこと。「それを受け取れたのは出産の3、4カ月前だった」 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 フィジカル面では覚悟を持って復帰を決めた岩清水でさえ、簡単には越えられないものがある。それでもメンタル面では新しい感覚も手にしたようだ。

「何事にも大きく動じなくなりましたね。でもこの間、初戦で先発した時は久しぶりに緊張したんです(笑)。緊張したのもまだ自分が100%のプレーを取り戻してないから。自分に自信があったら不安にはならないですよね」

 妊娠、出産を機に、これまでとは異なるさまざまな感覚を再発見する機会にもなったようだ。

「自分の産後復帰と女子サッカーで初めてのプロリーグ開幕が重なり、そこへ出場するのが明確な目標になりました。息子と一緒に入場するのをプロリーグで叶えられるようにスタメン争いっていうところに挑んでいきたいです。代表選手も多く、レベルの高い中で一緒にプレーさせてもらっているので充実した毎日の中でまた一つの夢を叶えられるようにがんばります!」

 どれだけ経験値を持ち合わせていたとしても、それが優遇されるはずもないハイレベルな戦いをするベレーザというチームは、今シーズンまたさらに難しいサッカースタイルにチャレンジしている。その中でセンターバックというイメージの強い岩清水が一列前でプレーをしたりと、複数のポジションに挑戦している。WEリーグでは単なる"復帰"ではなく、新しい岩清水の姿を見せてくれるだろう。

Profile
岩清水梓(いわしみず・あずさ)
1986年10月14日生まれ。岩手県出身。
小学1年生の頃からサッカーを始め、中学1年生でベレーザの下部組織であるNTVメニーナに入団。その後、高校2年生の時にベレーザ昇格を果たした。日本代表としてはアンダー世代代表を経て、2006年からなでしこジャパン入り。2011年W杯ドイツ大会、2012年ロンドン五輪、2015年W杯カナダ大会では不動のCBとして活躍した。現在は出産を経て復帰。今秋から始まるWEリーグでの活躍に期待がかかる。

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