岩清水梓が産後復帰に向けて必要だと感じたこと。「それを受け取れたのは出産の3、4カ月前だった」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

秋に開幕するWEリーグに向けて、プレシーズンマッチに臨んだ秋に開幕するWEリーグに向けて、プレシーズンマッチに臨んだこの記事に関連する写真を見る「一番大変だったのは産後直後です。出産によって恥骨が骨折手前までいっていたから、腹筋のつながりのところが痛すぎて起き上がれなかったんです。体幹に力を入れてトレーニングするのが筋トレの基本なのに、それすらできないんです。

 それが落ち着くまでリハビリ開始も伸びました。さらに緊急事態宣言もあってチームと合流できなかったこともあり、プロにトレーニングを見てもらえず、自分が思っていたよりもはるかに時間がかかりました」

 これは経験者でないと伝えられないことだ。こうした経験値を共有していくことも女性アスリートのフィジカル研究に遅れをとっている日本としては必要なことだろう。

「今、ジェフユナイテッド市原・千葉の大滝麻未選手も妊娠中でいろいろ話をするんですが、きっと早く戻りたいと思っているはず。私も思っていましたけど、産後の不慣れな新生児相手の生活は本当にスポーツをやる余裕もなくて、復帰以前に人間として......ストレスの極みでもう無理!ってなりそうでした(笑)。そうしたところでもいろいろケアできる環境があるといいですよね」

 そして今秋からは、いよいよ女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』が開幕する。先駆けて4月からプレシーズンマッチも開催された。岩清水は厳しいレギュラー争いの真っただ中にいる。それでも初戦のスタメンに名を連ね、2戦目以降も途中出場ながら彼女特有の存在感を放ってみせた。

「少しですけど試合勘も戻ってきました。まだまだ自分の感覚的には『違うな~』というのは練習でも多々ある。トップスピードに乗るまでの感覚は特にまだ戻らない。若い選手がいる中で単純な60メートルダッシュとなったら置いていかれるので。年齢的に厳しいものもありますが、そのあたりはしっかりトレーニングを積んでいきたいと思っています」

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