日本代表のセットプレーをスペインの名指導者が絶賛。「準備が実った」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「連戦が続く中、森保一監督はメンバーを変更しながら、チームとしてのバランスを保った戦いをしている。各ラインがうまく連係し、攻守にわたって戦術システムを運用できている」

 スペインサッカー界の賢人、ミケル・エチャリはそう言って、日本代表がセルビアを1-0で下したゲームを高く評価した。

 エチャリは旧ユーゴスラビアのサッカー関係者と親しい。イビチャ・オシムがオーストリアのシュトルム・グラーツを率いていた時代には、サッカー談義に花を咲かせたという。レアル・ソシエダの強化部長時代は、レッドスター・ベオグラードやパルチザン・ベオグラードという強豪の選手たちは常に獲得リストに入っていた。

「8番の(ネマニャ・)グデリは、所属するセビージャではボランチ、アンカーとディフェンシブな仕事をしている。その彼が右ウイングバックの位置でスタートしたことは、おそらく守備システムの運用のため。後半は選手交代によって、本来のポジションへ移った。その変化は、セルビアの戦い方と展開を象徴しているかもしれない」

 エチャリは中立的な視点で、森保ジャパンの戦いを解き明かした――。

セルビア戦でセットプレーからゴールを奪った伊東純也セルビア戦でセットプレーからゴールを奪った伊東純也「日本はメンバーを変更しつつも、いつもの4-2-3-1を採用している。丁寧なビルドアップをする一方、古橋亨梧と伊東純也という走力のある2人に裏を狙わせるボールを送った。ボランチは基本的に守田英正がバックラインに近く、橋本拳人が少し前目で、お互いが高さを変え、ポジション的優位を作っていた。また、左の南野拓実は少しインサイドにポジションを取って、トップ下の鎌田大地と連係してボールを引き出し、相手を押し込んだ。

 セルビアは3-4-2-1のシステムで挑んできたが、自然と5-4-1で守らざるを得なくなった。日本の前線からのプレスに苦しみ、カウンターもできない。前線が孤立し、受け身に回っている。

 決定機が作れなかっただけに、『日本の攻撃はうまくいっていない』という印象を抱いたかもしれない。

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