東京五輪最終選考試合で久保建英が見せた真骨頂。後半の采配に感じた違和感

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 U-24日本代表が6-0で大勝した前戦のU-24ガーナ戦。1トップ上田綺世(鹿島アントラーズ)とその下で出場した久保建英(ヘタフェ)の関係について、良好ではなかったと記した。ゴールに背を向けてプレーすることが得意ではない久保を1トップ下で起用するのはどうなのか、とも記している。

 このジャマイカ戦でも、久保は1トップ下として出場した。4-2-3-1の3の左右に、三笘薫(川崎フロンターレ)、堂安律(ビーレフェルト)を従える格好で、だ。1トップとして先発したのは前田大然(横浜F・マリノス)。ガーナ戦でコンビを組んだ上田綺世は、後半からその前田に代わり出場した。

 久保の出来はどうだったかと言えば、ガーナ戦よりよかった。なにより動き方が違っていた。ゴール正面付近で、行き先に詰まりながらプレーする機会が減少。目立ったのは、左右への流れる動きになる。1トップとの縦の関係より、両ウイングとの横の関係を重視した格好だ。

ジャマイカ代表戦で先制ゴールを決めた久保建英ジャマイカ代表戦で先制ゴールを決めた久保建英 そこで久保は、堂安、三笘と、コンビネーションプレーを披露した。三笘と久保(左)。堂安と久保(右)。日本の左右は瞬間、いわばダブルウイングのような状態になった。両サイドで、パッと花が咲くような技巧的なコンビネーションが炸裂すると、豊田スタジアムを訪れた4029人の観衆は瞬間、感嘆の声を漏らした。日本サッカー、一番のセールスポイントここにあり、という感じだった。

 久保は、真ん中よりサイドでプレーしたほうがいい選手に見えるとは、ガーナ戦後にも述べた筆者の見解だが、そこでドリブルをまじえながら、相手をおちょくるようなプレーを魅せるのが、その真骨頂。ダブルウイングは、そんな久保の魅力がいかんなく発揮されやすいスタイルだ。ベンチの指示なのか、久保自らの判断なのか定かではないが、前戦のガーナ戦では表現されなかった魅力になる。

 久保が左右に流れれば、真ん中の攻撃は手薄になる。しかし、展開が左右に広がれば、そのぶん、相手の守備陣も真ん中が空く。中央の守備が手薄になる。遠藤航(シュツットガルト)が前半42分にゲットした2点目のミドルシュートは、まさにそうした状況から生まれた一撃だった。

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