日本代表、大迫不在時の解決策。浅野拓磨の2つのプレーに注目 (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 一方、この試合のスタメンを飾った浅野、古橋亨梧、原口は、それほどポストプレーに長けているわけではない。浅野と古橋はスピードを生かした裏抜けを最大の武器とし、万能型の原口については、スタミナを生かした守備貢献やドリブルの推進力など、他の選手にはないダイナミックさが特長でもある。

 つまり南野以外、4-2-3-1の「3-1」に異なるタイプのアタッカーを並べた時、どのような変化が起きるかが、この試合を見ていくうえでは重要なカギとなった。

 森保ジャパンにおいて、これまで浅野が先発出場したのは2019年11月19日のベネズエラ戦のみ。ただ、その時は鈴木武蔵との2トップだったため、1トップでの出場は今回が初めてだった。

 過去には、鈴木武蔵や永井謙佑といった、浅野と同じスピードを武器とするタイプが1トップを務めたこともあった。しかしそれらの試合では、彼らの特長を生かすべく、チームとして相手DFの背後を狙うフィードが目立ち、くさびの縦パス本数が極端に減少。たとえば6-0で完勝したホームでのモンゴル戦(2019年10月10日)では、永井が1トップに起用され、1度もポストプレーをせずに終わった例もある。

 その試合では、両サイドからのクロスを多用して多くのゴールを生み出すことに成功したが、果たして、このタジキスタン戦ではどのような攻撃を見せたのか。

 2-1のスコアで終えた前半、日本は17本の縦パスを見せたが、やはり浅野がくさびの縦パスを収めたシーンは1度もなかった。

 浅野の見せ場は、6分の古橋による先制ゴールにつながったプレーで、山根視来のパスからDFラインの背後に抜け出してシュートを放ったシーン。14分に古橋がタッチライン際から蹴ったボールを右から抜け出てシュートに持ち込んだシーン。そして、カウンターからドリブルで前進した南野のパスを左サイドのスペースで受け、カットインしてからシュートした41分のシーンだった。

 ただし、裏抜け以外で見逃せないプレーもあった。19分に昌子源が入れた縦パスを南野がフリックし、近距離でそれを受けた浅野がトラップミスをしたシーンと、46分に同じく昌子が原口に縦パスを入れ、原口がフリックで浅野に渡したシーンだ。

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