中澤佑二vs闘莉王。歴代最高のCBはどっち? 対戦FW前田遼一が2人の特徴を徹底比較 (4ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

"ビルドアップ"の局面になると、存在感があるのはやはり闘莉王です。ボールを持った時にこちらのプレッシャーの状況によって、緩急を使い分けてきます。ドリブルで持ち上がることもあれば、ロングフィードで攻撃の起点にもなれるので、非常に選択肢の多い選手でした。起点をつくらせるわけにはいかないので、僕は闘莉王に対してはしっかりとプレッシャーをかけに行っていました。

 佑二さんは難しいことはせず、シンプルに素早くつないで、チームの駒として忠実にプレーをする印象です。つまり、佑二さんのところでボールが止まることがあまりないので、こちらはプレッシャーをかけようとしても寄せられなかった感じでした。

 2人とは代表チームで一緒にプレーする機会がありました。その時に感じたのは、コーチングの違いです。佑二さんは守備の局面で、すごく細かく指示を出すタイプです。前線の守備や詰めが少しでも甘かったりすると、すかさず「遼一! さぼるな!」とか、「もっと寄せろ!」と声が飛んできたのをよく覚えています。

 逆に闘莉王は、攻撃の局面での声が多かったですね。「もっとシンプルに前につないでいけよ!」とか、ボールの動かし方についてはよく言っていました。僕のところでしっかりとボールを収められると「ナイス! 遼一!」。あまり調子が良くないと「あいつダメだ」とストレートに言うところは闘莉王らしかったです(笑)。

 2人の特徴をいろいろと見てきましたが、それぞれ強みが違って単純な比較ができないので、どちらが優れたCBなのかは、ものすごく難しいです。

 守備力や攻撃力などを数値化して、選手単体としての能力を単純に比較したら闘莉王のほうが上だと思います。サッカーセンスがあって、遊びのゲームとかでも闘莉王はうまくて、ゴール前に上がって足元の技術で点を奪えるくらいの能力があります。

 ただ、チームとして戦うとなったら、佑二さんは自分の能力をグッと上げられて、その存在は絶大ですよね。だから、組織の中の駒の能力となると、佑二さんも引けを取りません。

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