五輪オーバーエイジのゲームマネジメントが秀逸。堂安律や田中碧が実感したそのすごさ
◆東京五輪のオーバーエイジ枠は史上最強か。過去の大会とは明らかに違う>>
つまり、吉田は常にチーム全体のことを考えている。例えば前半の得点後に、上田綺世に声をかけたのは、イーブンのボールに「最低でも触って、相手の後ろにそらすことができれば、全体の消耗が変わってくるから」だという。それはFWにとって、「派手ではないけど、非常に重要な仕事のひとつ」だと付け加えた。
また後半に田中がラフなチャージを受けた時は、一目散にその相手選手に詰め寄った。キャプテンの頼もしい振る舞いだ。
「僕は長谷部(誠)さんみたいに優等生ではないので(笑)。かわいい選手たちが削られたら、そこはやっぱりいかなきゃいけない。もしかしたらテレビで観ている人は、『吉田はオーバーエイジなのに大人気ないな』と思ったかもしれないけど、それもゲームマネジメントのひとつ。次は許さないぞ、という意思を示さなければならない。
実際にあの後、ラフプレーはなくなったと思うので、そういうところはみんなに見て感じてほしいと思います。ジャッジやスタジアムの雰囲気を味方にするというのも、試合をマネージする術のひとつなので」
この3人はおそらく、五輪代表史上最強のオーバーエイジだろう。A代表とコンセプトが同じなら、1トップに大迫勇也を置くことも考えたはずだ。それでも首脳陣が彼らを選択したのは、それが勝利への最善策と考えたからだろう。
五輪への出場を逃したガーナに6-0で勝ったからといって、喜びすぎてはならないが、この日の福岡の夜に大きな可能性が見えた気もする。
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