久保建英と上田綺世ではコンビに難。U-24代表の前線4人の並べ方はこれでいいのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

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 一方、ドリブルのキレは久保のほうがある。サイドで相手を縦に抜いて出るシャープさでは堂安に勝る。だが、この2人がポジションチェンジを繰り返しているうちに、気がつけば、日本の右からの攻めは弱体化していた。右ウイングが常時、右サイドに構えていたわけではないからだ。

 その下で構える右サイドバック(SB)酒井との連係が、良好でなかったことも輪を掛ける。ウイングとSBのコンビネーションについては、まだ手が回っていない様子に見える。

 一方、左は、後半11分、相馬と中山雄太(左SB)のコンビでサイドを突破。中山のマイナスの折り返しを上田が得意のヘッドでゴールを決める、いい点の奪い方をした。しかし、先発がなぜ相馬だったのかという疑問は残るのだった。

 てっきり先発は三笘薫かと思った。前戦の日本代表戦で、三笘は途中交代でも出場していない。このガーナ戦に満を持して登場してくるのかと思いきや、先発は相馬だった。

 相馬と三笘。単純に左ウイングとして力を比較すれば、三笘が勝る。だが、五輪はGK2人を除く16人のフィールドプレーヤーで戦う大会だ。複数のポジションをこなす多機能型選手が多いほど、メンバーのやりくりは楽になる。相馬は左に加え右もできる。SBもこなすことができる。ほぼ左ウイングしかできない三笘より、監督にとって使い勝手のいい選手であることは確かだ。

 しかし、日本の左サイドの攻撃は、後半13分、相馬と三笘の交代を機に数段、活性化した。久保、堂安より光って見えた。現状で日本のエースは誰かといえば、三笘と言わざるを得なくなった。そう実感させる終わり方だった。

 日本の首脳陣は、アタッカー陣4人をどう並べるか。この試合、上田に代わって交代出場した前田大然はスピード系の選手。1トップに加え、両ウイングとしてもプレーできる。久保に代わって出場した旗手怜央は、前戦では左サイドバックを務めた、言うならば便利屋だ。このあたりまでが当落線上の選手に見える。

 ただし、顔ぶれも大事だが、並べ方はそれ以上に大事だ。本番までの一番の課題だと言いたくなる。幾通りの正解を用意して、本番に臨むことができるか。キチンと攻めることができなければ、キチンと守ることはできない。いいボールの奪われ方で攻撃が終われば、守備はグッと楽になる。後ろを固めるだけでは、いいサッカーはできないのだ。

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