A代表に数字で露わになる不安材料。前半と後半で大きく違うスタッツとは? (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 当然、相手はそうさせないために、中央寄りにポジションをとってパスコースを消しにかかる。そうなった時は、サイドに空いたスペースを有効に使い、中央に絞った相手を外側に広げさせ、再び中央に空いたスペースを使って攻撃する。その逆も然りで、これを繰り返すことでゴールを目指すというのが攻撃のベースだ。

 今回対戦したU-24を率いる横内昭展監督代行も、同じスタイルでチームつくりを進めているため、当然お互いそれができている時間帯は優勢となり、できていない時間帯では劣勢に陥る。試合を見るうえでは、とてもシンプルな構図である。

 試合の序盤から優位に立ったのはA代表だった。開始2分にコーナーキックから橋本拳人が決めた先制ゴールも大きく影響したと思われるが、立ち上がりからU-24は狙いどおりの守備ができない時間がつづき、苦戦を強いられた。最大の要因は、A代表のビルドアップを抑えられなかった点にある。

 A代表もU-24も、守備時は1トップとトップ下が並列になり、4-4-2の陣形で守備を行なう。そのなかで、お互いが相手の攻撃の糸口を断ち切るためには、まず相手センターバック(CB)がボールを保持してビルドアップを開始する際、前線の2枚がダブルボランチへのパスコースを消すためのポジションをとって「ボールの出口」を封鎖する必要がある。U-24で言えば、その最初のフィルターとなるのが田川亨介、久保建英だ。

 しかし試合の序盤は、2人の立ち位置が定まらず、A代表のダブルボランチ(守田英正、橋本)は、田川と久保の間のスペースでCBからのパスを受け、いともたやすく攻撃の起点となった。また、田川と久保が正しい立ち位置をとった時は、守田か橋本のどちらかが最終ラインに落ちてパスコースをつくり、前からプレスをかけられた時にはGKもビルドアップに関わって、それを回避することもできていた。

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