価値を示した遠藤航。露見したU-24代表に本当に必要なOA選手 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 幸いにも、遠藤航、吉田、酒井、冨安の4選手は、A代表ですでに数多く一緒にプレーしており、互いの特長を踏まえた連係はすでに確立されている。確かに当該年代の冨安でさえ、U-24代表でのプレー経験はかなり少ないが、A代表のユニットがそのまま"移植"されるなら、通常新しい選手が加わる時に発生しがちな連係面の不安も、まったくと言っていいほど心配する必要がない。

 今後、若いチームがどんな"変身"を遂げるのか。楽しみは膨らむ。

 ただ、ある意味で妥当な結果に終わった試合を見ていて気になったのは、両者の差はつまるところ、大迫がいるかいないか、によるものが大きかったのではないか、ということだ。

 A代表の1トップに入った大迫は、時に最前線に張って深みを作り、時に1列落ちて2列目を前に押し出す。周囲の特長を引き出す多彩なプレーで、U-24代表のディフェンスを翻弄した。ストライカーであると同時に、攻撃の流れを指揮するプレーメイカーでもある。それが、今の大迫だ。

 だが、もし逆に大迫がU-24代表の最前線にいたら、試合はどうなっていただろうか。少なくとも、吉田、酒井、遠藤航、冨安を欠いたA代表のディフェンスが、これほど危なげなく対応し続けることは難しかったに違いない。

 3つしかないOA枠が悩ましい。どのポジションで誰を使うかは、単純に選手の力を比較しても答えが出ないだけに厄介な問題である。

 だとしても、やはり大迫はOA枠に加えるべきだったのか......。

 急遽決まった異例の兄弟対決は、OAにまつわるあれこれを考えさせられる試合だった。

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