価値を示した遠藤航。露見したU-24代表に本当に必要なOA選手 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 結果的にスコアは動かなかった。しかし、ひとりの選手交代がこれほど大きく試合の流れを変えてしまうこと。しかも、その選手ひとりの力(例えば、強引なドリブル突破やミドルシュートなど)で何とかしたわけではなく、彼が入ることによって、チーム全体が機能的に活動し始めたこと。それは、新鮮な驚きだった。

「(遠藤航が)相手の攻撃の芽を潰してくれるので、自分たちの攻撃の時間が増えた。ボールを取ったあとも、しっかりつないでくれる。ものすごくやりやすかった」(U-24代表・DF橋岡大樹)

 苦しんでいた味方の選手から、そんな声が聞かれるのも当然だった。

 OAの選手がひとり入るだけで、これだけチーム全体が変わるのだから、もし遠藤航を含め、DF吉田麻也、DF酒井宏樹の"OAトリオ"が、さらにはU-24世代ながら、すでにA代表のレギュラーに定着しているDF冨安健洋がそろって出場していたら、試合はどうなっていただろうか。

 おそらくスコアとしても、試合内容としても、これほど一方的なものにはならなかった可能性は高い。それどころか、まさかのアップセットもあったかもしれない。

 もちろん、遠藤航が入るまで抵抗できなかったU-24代表の選手たちはだらしないと、言ってしまうこともできるだろう。

 だが、この試合でA代表のキャプテンを務めたFW大迫勇也の言葉を借りれば、「だからこそのオーバーエイジ」。OAの選手が入ることでチームが一変するなら、それだけOAを使う意味があるということだ。それによって勝ち上がることができれば、U-24代表の選手たちもより多くの貴重な経験を重ねることができるし、その過程で力をつけていく。

 遠藤航は「守備でのアグレッシブさ」を課題に挙げつつ、「コミュニケーションが大事なので、今日ゲームができたのはポジティブなこと。今日やって(さらに)よくなる」と、明るい表情で手応えを口にする。

 それにしても、わずか10分あまりの時間で、これほど鮮やかにOA効果が現れるとは想像していなかった。

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