南野拓実はトップ下よりサイド? 俊輔や香川も経験した「10番の苦悩」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 とりわけドルトムントではトップ下として輝きを放っていた香川が、左サイドでプレーした代表では苦悶の表情を浮かべていた姿が思い出される。アルベルト・ザッケローニ時代の10番の苦悩が南野にも起こり得るかもしれないのだ。

 先制点の場面に象徴されるように、前半の形でも鎌田との好連係は育まれている。しかし、サイドのポジションは守備のタスクがより求められるし、長友が高い位置を取るやり方である以上は、そこがウイークポイントとなる危険性も高まる。

 モンゴルやミャンマーのように、常に押し込める展開であれば表面化はしないだろう。だが、相手の力量が高まり、低い位置まで押し込まれる展開になった時に、「前を向いてゴールに向かう」という南野の持ち味が希薄となる可能性も否定できない。

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「システムをふたつ以上、チームとして持っておくのはアドバンテージになると思います。ただ、強い対戦相手に対してできてこそだと思うので、その部分は今回の活動を経て、最終予選では使えるようになっていないといけない。ワールドカップを見据えてやっているので、そういうチームとやった時にうまく機能できるようにやっていきたい」(南野)

 サイドかシャドーか、あるいはトップ下か。10番のポジション問題は、今後の日本代表の強化における焦点となるだろう。まずは格上との対戦となる、6月11日のセルビア戦がひとつの試金石となりそうだ。

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