サッカー五輪男子はクジ運に恵まれた。組み合わせから見えるメダルへの道筋 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 日本の高温多湿の暑さは、海外からやってくる選手にとって相当に厳しい条件。それだけでも、いつもどおりのプレーをするのが難しくなるのは確かである。

 まして現在のコロナ禍にあっては、大会中、自由に外出して気分転換を図ることすらままならない。ホテルや選手村で缶詰めになるにしても、慣れ親しんだ自国にいる選手とそうでない選手とでは、ストレスのたまり方にはずいぶんと差があるはずだ。

 また、開催国である日本は、試合ごとの移動が狭い範囲に限られているのも大きい。前述のグループリーグ3試合はもちろん、準々決勝以降を見ても、鹿島での1試合(1位通過なら準々決勝、2位通過なら準決勝)があるだけで、あとはすべて東京、埼玉、横浜での試合に限られる。

 決勝以外はすべて中2日で行なわれる過密日程を考えると、(時間にすれば、わずか数時間の違いでも)札幌や宮城への移動が避けられるメリットは決して小さくない。

「まず大切なのは、我々がどの対戦国との試合になっても、しっかりといい準備をして、落ち着いて、かつ思い切ってプレーできる準備をすること」(森保一監督)

 グループリーグを1位通過し、準々決勝では宿敵・韓国を撃破。準決勝ではスペインを、決勝ではブラジルを下し、表彰台の真ん中に立つ。最も盛り上がりそうなシナリオは、そんなところだろうか。

 狙うはグループリーグ突破ではなく、金メダル獲得。その前提に立つならば、日本はクジ運に恵まれた。

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